ホンダF1プロジェクト責任者の長谷川祐介が、今シーズン後半には少なくとも2つの新バージョンのPU(パワーユニット)を投入する予定であることを明らかにした。
ホンダでは昨年までのコンセプトを捨てて完全に新設計されたPUで2017年シーズンに臨んだ。だが、そのユニットのパフォーマンスはメルセデスやフェラーリ製に比べると100馬力ほども劣ると言われている。
さらに、シーズン序盤は信頼性にも乏しく、ドライバーのフェルナンド・アロンソもストフェル・バンドーンも完走すらできない状況が続いていた。
■いまだ不透明なマクラーレンやアロンソの動向
3度目のF1タイトル獲得を目指してマクラーレン・ホンダのプロジェクトに参加したアロンソだったが、3シーズン目を迎えても勝利を狙える状態ではないことに不満を募らせ、来季は別のチームへ移籍、もしくはインディカーへの転向すらありえると示唆している。
こうした状況のもと、マクラーレンも9月にはこのままホンダと続けるのか、あるいは来季は別メーカーからPU供給を受けることにするのかを決定することになると言われている。
■着実な進歩を見せたスペック3
だが、ホンダがスペック3と呼ばれる改良PUを投入した第9戦オーストリアGPからは信頼性とパフォーマンスの両面で着実な進歩が見られており、前戦ハンガリーGP(第11戦)では2台ともに予選Q3に進出すると、決勝でも今季初めて2台ともにトップ10フィニッシュを果たしている。
ハンガリーGPの舞台となったハンガロリンクは低速コースに分類されており、エンジンパワーへの依存度はほかのサーキットに比べると低いと言われている。それでも、レース終盤にアロンソがファステストラップをマークするなど、ホンダがスペック3PUで着実な進歩を遂げたのは確かだ。
そして最近の報道では、ホンダでは夏休み明け最初のレースとなる第12戦ベルギーGP(27日決勝)にスペック4となるPUを投入することになるだろうと伝えられている。
■少なくともあと2バージョンを準備
長谷川は『Racer(レーサー)』に次のようにコメントしている。
「間違いなく、我々はあと2段階(改良バージョンPU)を準備することになります。あるいは3段階になるかもしれません」
「いずれにせよ、我々は前進を続けていきます。また、改善方法や新スペックの導入に関する戦略的なことについて考えるべきこともあります。もちろん、(グリッド降格)ペナルティーを避ける必要がありますし、とりわけシンガポールのようなサーキットではそれが重要になります」
■さらなるパフォーマンスアップも可能
長谷川は、ハンガロリンクのときよりもさらにPUパフォーマンスを向上させていけるのは間違いないと考えている。
「パフォーマンスの向上開発という観点からは、私はそれができると自信を持っています」
そう述べた長谷川は、次のように付け加えた。
「しかし、どの時点でどれほどのレベルのパフォーマンスを達成できるかを保証することはできません」