レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーが、今シーズン序盤に出遅れてしまったのはファクトリーでのシミュレーションに問題があったためだと語った。
■今季序盤に大きくつまずいたレッドブル
2010年から2013年までセバスチャン・ベッテル(現フェラーリ)とともにF1タイトル4連覇を達成したレッドブルだが、現行パワーユニットが導入された2014年以降はタイトル争いにからむことさえできていない。
今季はシャシーやタイヤに関するレギュレーションが大きく変わったことがレッドブルに有利に働くのではないかとみられていたが、実際のところ現時点ではメルセデスAMGとフェラーリに次ぐ3番手チームの位置にとどまっている。
ホーナーは、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にこうした状況に至った理由はファクトリー作業にあったのだと次のように語った。
「サーキットでは、我々のツールが示していたような数値を示すことができなかったんだ」
「それによって我々は2か月ほどの遅れを生じてしまった。それはつまりライバルたちの倍のスピードで作業しなくてはならないということだ。ライバルたちもその場に立ち止まってはいないからね」
■最大の問題は風洞シミュレーション
実際のところ、ミルトンキーンズにあるレッドブルのファクトリーでは具体的に何がうまくいかなかったのかと尋ねられたホーナーは、次のように続けた。
「我々を失望させたのは主に風洞だった」
「より大きなモデルとタイヤは、サーキット、CFD(数値流体力学)、そして風洞でそれぞれ別の結果を生じていたんだ」
■今後のルノーPU改善にも期待
だがホーナーによれば、レッドブルが製造した今季型車RB13がそうした問題を抱えていたことも事実だが、タグ・ホイヤーというブランド名が施されたルノーパワーユニットのパフォーマンスも期待通りのものではなかったという。
そのルノーパワーユニットは、シーズン開幕当初との比較でどれほど改善されてきたのかと尋ねられたホーナーは、次のように答えた。
「コンマ2秒というところだろうね」
「ルノー自身による評価でも、まだ目標には到達していない。だが、彼らも追いつくために非常に懸命な取り組みを続けているよ」
■燃料へのオイル混入禁止で同じ土俵に
一方で、シーズン序盤にフェラーリが好調だったのは燃料にオイルを混入させることで出力アップを図ることができていたのではないかとのうわさもある。統括団体であるFIA(国際自動車連盟)がそれを明確に禁止し、監視を強化すると発表して以来フェラーリのペースが落ちたのはそのためだと考えている者も少なくない。
この件について質問されたホーナーは、次のように答えている。
「そういうことをしていたチームは明らかに利益を得ていたはずだ。だが、ルノーはそうではなかった。今では全員が同じ土俵の上にいるということだ」
ともあれ、最近の数レースではシーズン序盤のころに比べると2強チームとレッドブルの差が少しずつ縮まってきているのも確かだ。シーズン後半にレッドブルがさらにペースを上げ、3強チームの力量差があまりなくなれば、ファンにとってももっと興味深いシーズンとなるはずだ。