レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーが、FIA(国際自動車連盟)が来季からF1にコックピット保護装置「ヘイロー(HALO)」を導入することに決めた背景について語った。
■ヘイロー導入を決めたFIAに疑問の声も
FIAでは数年前からF1ドライバーの頭部保護対策導入計画を進めてきていたが、2018年からヘイローと呼ばれる方式の保護装置をF1カーに備え付けることを正式に決定した。
F1カーのコックピットに備えられるドライバー頭部保護装置に関しては、これまでにもヘイローやエアロスクリーン、あるいはシールドと呼ばれるものが開発されテストが続けられてきていた。
だが、いずれもこれまでのフォーミュラカーのイメージに合わない外観となってしまうこともあり、その導入については疑問の声も多く上がっており、中にはF1のDNAを破壊してしまうものだとの批判的意見すらある。
■ヘイロー導入を急いだのは裁判対策?
それなのになぜFIAは来季からのヘイロー導入を強行決定したのか?
ホーナーはその背景をドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように説明した。
「メルセデスがあのコンセプト(ヘイロー)を発案したわけだが、それによってFIAが難しい立場に置かれてしまったんだ」
「今はクルマにヘイローが装着されていないが、もし今事故が起きてしまえば、それ(ヘイロー)が付いていたなら命を救えていたのではないかという話になってしまうだろう。つまり、法的な見地からすれば、装備が可能であるにもかかわらず、どうしてそうしなかったのかということを説明するのは非常に難しくなってしまうわけだ」
「我々(レッドブル)もそのためにエアロスクリーンを開発したんだ。このビーチサンダルみたいな形のもの(ヘイロー)よりももっと見た目がよいものを作ろうとね」
「今のFIAは、ヘイロー以外に選択肢がないという局面に置かれてしまっているんだ」
■ドライバーはリスクを受け入れる必要もある
ホーナー自身は必ずしもコックピット保護装置の導入に積極的な考えではないようだ。
「私が気になっているのは、カートに至るまですべてのフォーミュラカーにこれが装着されることになってしまうのかということだ。どこまでやるつもりなのだろうね?」
そう述べたホーナーは、次のように付け加えている。
「私は、ドライバーというものは、どこかの時点で一定のリスクを受け入れる必要があるものだと思っているよ」