先週末に行われたF1第9戦オーストリアGPでは、メルセデスAMGのバルテリ・ボッタスが見事にポール・トゥ・ウィンで今季2勝目をあげた。
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■フライングスタートが疑われたボッタス
だが、ポールポジションからボッタスがあまりにも素晴らしいスタートをきめたことから、レース開始直後にはボッタスがフライングを犯していたのではないかとの疑念が持たれていた。
事実、ボッタスと並んで2番グリッドからスタートしたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)や、ボッタスの斜め後ろの4番グリッドからスタートしたダニエル・リカルド(レッドブル)は、チームに無線でボッタスがフライングをしていたと訴えていた。
そしてアゼルバイジャンGPのF1競技委員会も、その疑いがあるとしてボッタスのスタートに関して審議を行うことを発表していた。
■肉眼ではフライングにも見えたが・・・
だが、その審議の結果ボッタスに下された裁定は「白」だった。
オーストリアで競技委員を務めていた元F1ドライバーのミカ・サロは、母国フィンランドの『Ilta-Sanomat(イルタ・サノマット)』紙に次のように語った。
「カメラを通した映像ではフライングのように見えていた。だが、フライングとみなされる限界値は超えていなかったよ」
陸上競技では、スタート合図のピストル音が鳴ってから0.1秒以内にスタート動作を開始した場合はフライングと判定されることになっている。これは、人間が何かを知覚してから動作を開始するのに最低でも0.1秒以上かかるとの研究結果から、それ以下の時間内に動作を開始した場合は正しいスタート手順に違反したと認められることになっているためだ。
■許容範囲内だったボッタスの反応時間
F1では、フライングを監視するためにクルマの中に反応時間を計測する装置が備え付けられているが、その限界値は陸上競技ほど厳しいものではないと考えられている。
F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)の広報担当者であるマッテオ・ボンチアーニによれば、F1のスタート合図である5つの赤ランプが消えたあと、F1カーが多少の動きをすることは許容範囲として認められているのだという。それは、ドライバーがクラッチの動きを制御する必要があるためだ。
サロは、次のように付け加えている。
「データを調べたが、そのデータによればフライングではなかった」