カナダ出身の元F1ドライバーであるジャック・ビルヌーブが、今年F1デビューを飾った18歳のランス・ストロール(ウィリアムズ)にこれまで容赦ないコメントをしてきたことを謝るつもりなどないと主張した。
■後輩のストロールを酷評していたビルヌーブ
ストロールがデビュー以来かなり苦戦を強いられていたのは確かだ。たびたびミスを犯してクラッシュし、予選でもベテランチームメートのフェリペ・マッサに大きく差をあけられてしまっていた。
そんなストロールのことを1997年のF1チャンピオンであるビルヌーブは“F1史上最悪のルーキー”だと酷評していた。
『Le Journal de Montreal(ジュルナル・ド・モントレアル)』から、どうして後輩ドライバーにあたるストロールに対してそれほど厳しいコメントをするのかと尋ねられたビルヌーブは、次のように答えた。
「シーズン序盤に僕が彼に対して批判的だったのは彼の成績を見てのことだった。単純な話だよ」
「どうして彼を褒めなきゃならないんだい? 僕の役割は事実を伝えることであり、ドライバーを擁護することじゃないよ」
「自分のチームメートより1秒も遅ければ、素晴らしいなんて言えないよ。なぜみんなはそのことに文句を言うのかな? それは事実なんだからね」
だが、ビルヌーブも最近ではストロールの成績が向上してきていることは認識している。
■最近はシーズン序盤とは対照的なストロール
シーズン序盤の6レースでは1ポイントも獲得できていなかったストロールだが、地元で行われた第7戦カナダGPで9位に入賞して2ポイントを獲得すると、続く第8戦アゼルバイジャンGPでは予選で今季初めてマッサを上回ると、決勝でも波乱に満ちたレースをうまく乗り切ってなんと3位でフィニッシュ。初めてのF1表彰台に上ったのだ。
「その通りだ。それは僕も真っ先に認めるよ」
そう語ったビルヌーブは次のように続けた。
「カナダでの彼はそれほど速かったわけじゃないが、レースをうまく走り切ってみせた。あれで彼の肩からはかなりの重荷が取り払われたね」
「バクーではさらによかった。彼の前でトラブルが起きたものの、彼は落ち着きを失わなかった。それは何度もミスをしていたシーズン序盤とは対照的だったよ」
だが、ビルヌーブは最後に次のように付け加えた。
「だけど、それでモントリオールより前の彼の結果が悪かったという事実が消えるわけじゃないよ。だから、僕は自分が言ったことについて何も後悔などしていない。まったく、あのころは見てはいられなかったからね」