今季は開幕戦から第6戦モナコGPまですべて表彰台に上っていたフェラーリだが、第7戦カナダGPとそれに続く第8戦アゼルバイジャンGPでは2戦連続で表彰台を逃す結果となっている。
どちらのレースもレース中に接触などのアクシデントが起きたことがフェラーリ失速の原因となったのは確かであり、そうした状況に陥らなければどういう結果になっていたかは分からない。
■ベッテル失速の背景は?
だが、特にカナダまでの7戦中6レースの予選で最前列を確保していたフェラーリのセバスチャン・ベッテルが、第8戦が行われたバクーでは今季最悪の4番手に沈んでしまったのも事実だ。
そして、突然ベッテルの勢いがそがれたように見える背景には、ほかの要素もあったのではないかとの疑念もささやかれている。
それは、最近F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が、燃料にオイルを混入させることが禁止事項にあたることを明確にし、アゼルバイジャンGP以降それに対する監視を強めると発表していたことだ。
■FIAが目をつけていたのはフェラーリだった
レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、今回FIAが目をつけていたのはフェラーリにほかならないと『Osterreich(エステルライヒ)』紙に次のように語った。
「何を調べるべきかを知っていた者がいるんだ。赤いチーム(フェラーリ)から移籍して今は銀色のチーム(メルセデスAMG)にいる者がね」
マルコが示唆したのは、メルセデスAMGがFIAに対してフェラーリが巧妙なトリックを使っている可能性があると注意を呼びかけていたということだ。
一時FIAが燃料にオイルを混入することを厳密に取り締まる方向であることが伝えられたとき、一部には予選で非常に強さを見せるメルセデスAMGがその取り締まり対象ではないかとのうわさがささやかれていた。だが、マルコのコメントが事実だとすれば、実際はまったく逆だったということのようだ。
■ベッテルがチャンピオン候補であることに変わりはない
しかし、マルコは、たとえフェラーリがその規制強化によって少し不利になるにせよ、今後もセバスチャン・ベッテルがF1タイトル争いを有利に展開してゆくだろうとも予測している。
マルコは『Kronen Zeitung(クローネン・ツァイトゥング)』に次のように語った。
「燃料へのオイル混入問題によってフェラーリがエンジンパワーを少し失ったようには見えるが、それでもセバスチャンがレースでは最強だよ」