現在F1では1.6リッターV型6気筒ターボエンジンに熱エネルギー回生装置と運動エネルギー回生装置が組み合わされたパワーユニットが使用されている。
このエンジン規格に関してはF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)、F1商業権所有者、F1チームなどの間で契約が結ばれており、2020年までは現行パワーユニットが継続使用されることになっている。
つまり、F1では2021年からは新たなエンジンレギュレーションを導入することになるが、現在それに向けたワーキンググループが組織され、新エンジン規格についての検討が行われている。
伝えられるところによれば、そのワーキンググループの会合が4日(火)に予定されており、そこでまた何らかの前進が見られるかもしれない。
■次世代F1エンジンはツインターボ+KERS?
これまでの報道によれば、2021年以降も現在の1.6リッターV型6気筒エンジンという規格は継続される見込みが高いと考えられている。だが、現行パワーユニットに導入されている熱エネルギー回生システムは廃止され、運動エネルギー回生システム(KERS)だけが装着されるものになる可能性が高いと言われている。
さらに、現行パワーユニットの課題のひとつであるF1エンジンにふさわしい音を発生させるために、現行のシングルターボではなくツインターボが導入されることになるだろうとも予想されている。
この件についてドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』から質問を受けたルノーのシリル・アビテブール(マネジングディレクター)は、「私は、我々としては合理的な申し出を行ったと信じているよ」と語っている。
■F1にふさわしいエンジンにしていくことが必要
現在の公式F1エンジンサプライヤーを始め、2021年以降にF1参入を検討しているエンジンメーカーたちは、次世代のF1パワーユニットは1000馬力以上の出力を可能とし、大音量を発生するとともに、現行型よりもシンプルかつ安価なものとすべきだとの意見を持っていると伝えられている。
「テクノロジーを用いることに反対はしてはいない。だが、誰からも勝つチャンスを奪うようなものであってはならないんだ」
そう語ったアビテブールは、次のように続けた。
「それは最強メーカーにとっても最下位メーカーにとってもいいことではない。エンジンによる違いは生じるべきだが、我々にはこのシリーズによく合い、しかもこのスポーツにとっていいエンジンが必要なんだ」
「電化も必要だ。しかし同時に我々にはエンジン重量とパワーのよりよいバランスも必要となる」
■パワーと重量のバランスが新エンジンのカギに?
実際のところ、現行パワーユニットの複雑なハイブリッドエレメントをもっとシンプルなものに変えれば、次世代エンジンはもっと軽量化を図ることができるはずだ。
F1には現在の後輪駆動方式から4輪駆動方式に変えるという案もあったが、それは車重が増加するという理由で除外されたと言われている。
アビテブールもそれを認め、「4輪駆動はいいアイデアとは言えないよ。もっと重くなってしまうからね」と語り、次のように付け加えた。
「電化することの問題は重くなってしまうということだ。そしてそれによって効率性が悪くなってしまう。我々は中道を模索すべきだよ。ハイブリッドには賛成だ。だがやり過ぎはよくないね」