今年のマクラーレンは2017年仕様の幅広タイヤにうまく対応できているようだ。
今季も苦戦が続いているマクラーレン・ホンダだが、その不調の原因はホンダパワーユニットのパフォーマンスと信頼性不足によるものだと考えられている。
事実、2005年と2006年に2度F1タイトルをとったベテランドライバーのフェルナンド・アロンソ(マクラーレン・ホンダ)も、パワーユニットを除けば今季のマクラーレン製シャシーは最高レベルだと評価している。
■タイヤレギュレーション変更に独自の対応
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、今季はメルセデスAMGを筆頭に公式タイヤサプライヤーのピレリが持ち込んでいる2017年仕様幅広タイヤにうまく対応できていないチームが多い中、マクラーレンは非常にうまく対応できていると報じている。
その理由は、マクラーレンがシーズンオフの間に新タイヤへの対応準備をしっかりと行っていたためだという。
2017年に向けたピレリのタイヤ開発に向けては、メルセデスAMG、フェラーリ、レッドブルの3チームが2015年型F1カーを改良したテスト車両を用意してピレリに協力していた。しかし、マクラーレンは自分たちのテスト車両を持ち込んで実際の走行テストを行ったわけではなかった。
だが、マクラーレンも新仕様タイヤに備えて積極的に独自の取り組みを行っていたようだ。
■タイヤの理解に問題はない
マクラーレンのレーシングディレクターを務めるエリック・ブーリエは、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語っている。
「我々は24日間にわたって行われたテストすべてにオブザーバーを送り込んだ唯一のチームだった。そして、FIA(統括団体である国際自動車連盟)とピレリが最初に我々に提示しようとしていたものよりさらに多くのデータを要求したんだ」
「だから、我々は(テスト用)2015年型車を作らなくとも、最初からタイヤをうまく理解することができていたんだ」
■アゼルバイジャンGPでも苦戦は必至
しかし、タイヤマネジメントにも自信があり、今季のF1カーの中でも非常にバランスがとていると言われるマクラーレンだが、今週末にバクーで行われるF1アゼルバイジャンGP(25日決勝)でも苦戦は必至だと考えられている。
いくらシャシー性能が高くても、ライバルメーカーに対して90馬力も劣っていると言われている非力なホンダパワーユニットでは、2km以上に及ぶ長いストレートがあり、パワーが非常に重要な要素となるバクー市街地サーキットでの戦いが厳しいものとなるのは間違いないだろう。
ホンダはバクーに若干の改良を施したエンジンを持ち込む予定だと伝えられているが、ホンダF1責任者の長谷川祐介はアゼルバイジャンGPに向けて「チームにとってはまた厳しい挑戦になると考えられます」と語っている。