13日(火)、『第101回インディアナポリス500(インディ500)』で日本人初優勝という歴史的快挙を達成した佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポーツ)が、ホンダのウェルカムプラザ青山で行われた凱旋記者会見に臨んだ。
■佐藤琢磨「やりました!」
インディ500を制した佐藤琢磨は、子どもの時からの夢であった「世界一」を達成した。
「やりました!この優勝を、これまで僕を信じて応援してくれたホンダさん、スポンサーさん、そしてファンのみなさんと喜びを分かち合いたい。感謝の気持ちでいっぱいです」
「インディ500で勝つために、昨年も優勝しているアンドレッティ・オートスポーツに移籍して、体制は整っていました。最高のマシンを用意してくれて、みんなの想いをのせて走りました」
■残り10周の戦い
「残り10周、どうやったら抜けるかより、抜かれないかを考えていました。先頭を走っていたマックス・チルトンはどんな動きをするのか不安でしたが、エリオ・カストロネベスは信頼して戦える素晴らしいドライバー。何度か並んだのですが、わざと抜かないで様子を見ていました」
「ホンダのエアロパッケージはシボレー勢に比べるとトップエンドが速く、タービュランス(乱気流の中)が弱い。2コーナーは頑張らないといけなくて、それを考えると4コーナーで合わせるのが一番速かったのですが、でも前に出ると空気抵抗が増えて燃費が悪くなるので、最後まで様子を見ていました」
「エリオがチルトンを抜いてトップに立ち、僕も彼のラインについていき、インディ500で3勝しているエリオこそ倒すべき相手だと思いました。彼とはこれまで一度も絡んでいない。相手をリスペクトしている走りで戦えて幸せだった」
「残り5周でトップに立つのは早いんじゃないかとご心配をお掛けしたかもしれませんが、僕には勝算がありました。いろいろシミュレーションをしてきて、2012年の経験もふまえて、ホンダエンジンと同じくらい頭をフル回転で回していました」
「残り2周は、予選のような走りでした。リアは滑らせないように走りました」
「最後の1周はミラーは見なかった。スポッターの無線だけを聞いて『2台3台後ろ』と言われて、イメージできていました。エリオにスリップストリームに入られないように、僕の動きを読まれないように、ペナルティを科せられないように、気を付けながらストレートごとにラインを変えて走っていました」
「勝った時の絶叫は、本当の気持ちです」
「ホンダの一員として誇りに思います」
■次はタイトル獲得
インディ500優勝で世界一になった佐藤琢磨は、新しい目標ができたという。
「次の新しい目標はインディカーシリーズのタイトル獲得です」
現在シリーズランキング3位の佐藤琢磨だが、シリーズで残りのサーキット特性を考えると簡単ではないと次のように述べた。
「現実は厳しいと思っています。チームが得意なのはオーバルで、オーバルの残りはポコノ戦しか残っていません。チームと個人が得意な市街地はトロント戦だけしかない」
「ショートオーバルは勝ち目がないと思っています。ホンダのエアロパッケージはウィングを立てると良いけど、寝かせると厳しい戦いになります」
「ロードコースでは勝ちを狙っていきたいです。残り1〜2勝して、着実にトップ5に残ってポイントを稼いでいけば可能性があると思います」
「ライバルも強いです。同じホンダエンジンのチップ・ガナッシのスコット・ディクソンはすごく強いです。それにペンスキー勢の、エリオ、パジェノー、ウィル・パワー、若手のニューガーデンも強い。そこに僕が加わって6強の戦いになればと思います」
9月までのインディカーシーズンを全力で戦い、F1日本GPの時に帰国した際には「良い報告」をしたいと、次なる目標を報道陣に語った佐藤琢磨。インディ500王者の目は、自信と高いモチベーションに満ちあふれていた。
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