レッドブルから2015年にフェラーリに移籍したセバスチャン・ベッテルは、今年そのときに結んだ3年契約が満期を迎えることになる。
フェラーリではもちろん、2010年から2013年までレッドブルでF1タイトル4連覇を達成したベッテルとの契約を延長したいと考えている。
少し前には、フェラーリ会長のセルジオ・マルキオンネが、ベッテルが望むならば好きなだけフェラーリにいてもらってかまわないのだと発言したことが報じられていた。
そしてこのほどドイツの『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』が伝えたところによれば、マルキオンネはモンツァで行われる今季のF1第13戦イタリアGP(9月3日決勝)までには2018年の契約を済ませたいと望んでいるようだ。
■フェラーリで勝利すること以上に素晴らしいものはない
そんな折、昨シーズン途中で離脱したジェームス・アリソン(現メルセデスAMG/テクニカルディレクター)の後任としてフェラーリの最高技術責任者(チーフテクニカルオフィサー)抜てきされたマッティア・ビノットがイタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に次のように語った。
「ベッテルは単に我々のドライバーのひとりであるだけではないんだ。彼はこれまでに何度もF1チャンピオンになっている」
「私は彼が我々のところにとどまるだろうと思っているよ」
そう語った47歳のビノットは次のように付け加えた。
「それは、F1ドライバーにとって赤いクルマ(フェラーリ)で勝利すること以上に素晴らしいことなどないからさ」
■モナコでの勝利でタイトルが狙えると確信したフェラーリ
ビノットはさらに、2007年のキミ・ライコネンを最後にF1チャンピオンを誕生させることができていないフェラーリにとって、前戦モナコGPでのベッテルの勝利が大きな転機となったと次のように続けた。
「フェラーリがモナコで勝ったのは16年ぶりのことだった。あの勝利で解き放たれたんだ」
「あれは、我々には速いクルマがあり、今では(メルセデスAMGと)対等に戦えるということを確信することができた勝利だった。あるいは、ほかのチームよりも強いということが証明されたと言ってもいいだろう」
ビノットの期待通り、このままベッテルが10年ぶりのフェラーリF1チャンピオンに近づいていくことができれば、ベッテルとしても来季あえてほかのチームに移籍する必要はなくなるだろう。
■ベッテルはフェラーリの価値を認識したはずだとアレジ
1991年から5年間フェラーリに在籍した経験を持つ元F1ドライバーのジャン・アレジも、ベッテルは来季以降もフェラーリに残留するだろうと考えている。
「私は彼が赤いクルマで勝ったときにどれほどの感動を得られたかを知っているんだ」
フェラーリ最後の年となった1995年のカナダGPで自身唯一のF1勝利を飾った経験を持つアレジはそう語ると、次のように続けた。
「彼は、F1タイトルを取りはしたものの歴史を持たないチーム(レッドブル)から移ってきた。彼はフェラーリの方が非常に価値があることを認識したはずだ。ティフォシ(熱狂的フェラーリファン)の愛情や落胆といったものを通じてね」
■今はタイトル争いに集中したいとベッテル
一方、ベッテル本人は来季の契約に関して母国ドイツの『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』に次のように語っている。
「僕とチームは、今は契約の話をするのはよそうと決めたんだ。その代わり、タイトル争いに全力を尽くそうとね」