先週末に行われたF1モナコGPで2位となって表彰台に上ったキミ・ライコネン(フェラーリ)だが、その顔に笑顔は見られなかった。
●【決勝結果】F1モナコGP決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
■ポールスタートもベッテルに逆転を許したライコネン
2008年以来となるポールポジションからスタートしたライコネンは、モナコで2005年に果たしたポール・トゥ・ウィンを再現しようと序盤はうまくレースを支配していく。だが、このレースで唯一のピットストップによってレース展開が大きく変わってしまった。
2番グリッドからスタートしたチームメートのセバスチャン・ベッテルがライコネンよりもピットストップを遅らせて猛チャージをかけたことで、ライコネンをオーバーカットすることに成功したのだ。
その後ライコネンはベッテルのペースについていくことができず、決勝を2位で終えることになった。
■フェラーリが意図的にベッテルにチャンスを与えた?
ライコネンの母国フィンランドのテレビ局関係者であり、ライコネンの友人でもあるトニ・ヴィランデールはレース後に次のように語った。
「フェラーリのガレージ内の雰囲気はピリピリしていたよ」
「キミの担当エンジニアはすごく憤慨していたし、もちろんキミも怒っていた。多分我々には分からないことが行われていたんじゃないかな」
その理由として考えられることはひとつだ。フェラーリがドライバーズランキングトップの位置にいるベッテルにより多くのポイントを稼がせるため、意図的にベッテルがライコネンの前にでるように状況をコントロールしたということだ。
■チームオーダーは出さないとフェラーリのボス
だがもちろん、フェラーリはこれを否定している。
「我々がチームオーダーを出すことはない」
フィンランドの『Iltalehti(イルタレティ)』にそう語ったフェラーリのチーム代表マウリツィオ・アリバベーネは次のように付け加えた。
「彼ら(ベッテルとライコネン)はお互いに戦うことが許されているし、彼らはそうしたんだ」
ベッテルは、今回のモナコではそれぞれのとったピット戦略が自分のほうにうまく働いただけに過ぎないと語りつつ、友人でもあるライコネンの気持ちも分かると次のように語っている。
「僕たちはレースをしているし、お互いにうまくやっている。僕はキミが腹を立てていることも理解できるよ」
■フェラーリはベッテルを選んだのだとハミルトン
だが、フェラーリのライバルであるメルセデスAMGのルイス・ハミルトンはそうは考えていないようだ。
ハミルトンはフェラーリが確実にベッテルに今季のF1タイトルを取らせたいと考えており、今回モナコでフェラーリが取ったピット戦略は明らかにベッテルをナンバー1扱いすることを表明したものにほかならないと考えている。
「ここ(モナコ)ではトップを走るドライバーを追い抜くのは難しいんだ。チームが別の1台に味方しない限りね」
ベッテルが優勝し、自身は7位に終わったことで現時点でのポイント差が25に広がってしまったハミルトンはそう語ると、次のように付け加えた。
「僕から見れば、フェラーリがナンバー1ドライバーを選んだということは明らかだよ」