メルセデスAMGを率いるトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)が、2018年にフェルナンド・アロンソ(マクラーレン・ホンダ)と契約する可能性を否定しなかった。
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■アロンソの本命はメルセデスAMG?
マクラーレン・ホンダ移籍による3度目のF1タイトル獲得計画が失敗に終わった形のアロンソだが、最後のチャンスにかけて2018年にはすぐにタイトル挑戦を可能としてくれるであろうチームへの移籍を考えているとうわさされている。
そしてアロンソが、昨年まで最強を誇り、今季もフェラーリに肉薄されてはいるものの、コンストラクターズランキングでは首位に立っているメルセデスAMGを移籍候補筆頭に考えるであろうことは想像に難くない。
だが、少し前までヴォルフはアロンソとの契約には消極的な姿勢を示していた。その時ヴォルフは、アロンソにはかつて2007年にマクラーレンでチームメートだったルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)との関係が非常に悪化したという経緯があり、ハミルトンがいる今のメルセデスAMGにアロンソがうまく収まるとは思えないためだと示唆していた。
だが、そのヴォルフの姿勢に少し変化が現れたようだ。
■アロンソはまだタイトルが狙えるドライバー
スペインの『Marca(マルカ)』と『El Mundo Deportivo(ムンド・デポルティーボ)』には、次のようなヴォルフのコメントが紹介されている。
「事前にノーと言うわけにはいかないよ。それはばかげたことだ」
「言えることは、仮に、彼(アロンソ)が最高ではないとしても、現時点では最高レベルのドライバーだということだ。彼にはエネルギーとやる気がまだあるからね」
「彼はキャリアの最終段階に入っている。だからといって彼が今後の2、3年においてレースやタイトルを勝ち取ることができないというわけではないよ」
■メルセデスとの確執は過去のこと
だが、2007年にアロンソがルノーからマクラーレンに移籍した際、当時マクラーレンにワークスエンジンを供給していたメルセデスが激しい性格で知られるアロンソに手を焼いたという記憶がいまだにチーム内に残っているのも確かなようだ。
しかしヴォルフは、それはもはや過去のことだと次のように続けた。
「これまでの歴史的背景をかんがみて選択するよりも、今日のアロンソという人物を選択することのほうがずいぶん簡単なことだと思うよ」
「これに関して重要な役割を果たすのがルイスだよ。ドライバーというものは常に挑戦を受け入れるものだと思うし、フェルナンドは挑戦の対象となるだろうからね」
「だが、ルイスがフェルナンドを好ましいと感じるかどうかよりももっと重要なことがあるんだ。チーム全体の活力が大切だからね。すべてがうまく適合する必要がある。だが、フェルナンドは以前とは違う人間になっていると私は思うよ」
■現状ラインアップが最優先 アロンソは次点グループに
ハミルトンは2018年までメルセデスAMGとの契約を有している。一方、今年加入したバルテリ・ボッタスとは1年契約しか結んでいない。普通に考えれば、来季アロンソ、あるいはフェラーリのセバスチャン・ベッテルがメルセデスAMGに移籍してくることになれば、ボッタスがシートを失うことになりそうだ。
だが、ヴォルフは現在のドライバーラインアップに満足していると次のように語った。
「アロンソに関してだが、本当の状況は優先すべきドライバーたちがほかにいるということだ。まずはバルテリとルイスだよ」
「それに、我々の若い才能にもワクワクさせられているし、ほかにも私をよろこばせている者たちもいる。フェルナンドもそうしたグループに属しており、それ以上ではないんだ」
そう語ったヴォルフは、次のように締めくくっている。
「私はバルテリに全面的な信頼を置いているが、2018年に向けてはさまざまな可能性がある。そして、素晴らしいドライバーたちが市場に出てくるであろう2019年はさらに大きな変化が起きるだろうね」