5月5日(金)に行われたFIA WEC第2戦スパ6時間レースの公式予選は、TOYOTA GAZOO Racingとライバルの間で激しい競り合いが展開されたが、TOYOTA GAZOO Racingは波乱に影響され僅差でポールポジションを逃した。
■TS050 HYBRID #7号車:(小林可夢偉、マイク・コンウェイ)
公式練習第3回目: 2番手 (1分55秒238), 27周
公式予選 2番手 (平均1分54秒693)
■TS050 HYBRID #8号車:(中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソン)
公式練習第3回目: 1番手 (1分55秒233), 27周
公式予選 4番手 (平均1分54秒907)
■TS050 HYBRID #9号車:(ステファン・サラザン、国本雄資、ニコラス・ラピエール)
公式練習第3回目: 3番手 (1分55秒448), 28周
公式予選 3番手 (平均1分54秒701)
■赤旗によりタイムアタック中止
午後3時25分に始まった公式予選は、気温12℃、曇天ながらドライ路面というコンディションの下で行われた。
セッションがスタートしてTOYOTA GAZOO Racingのドライバー達がタイムアタックを開始した直後にLMP2車両がクラッシュ。その事故処理のために赤旗が提示され、タイムアタックは早々に中止せざるを得なかった。
■3台目の9号車、サラザン最速タイムも・・・
しかし、赤旗が解除されるとすぐに、3台のTS050 HYBRIDのうち、唯一ロー・ダウンフォース空力仕様のTS050 HYBRID #9号車を駆るステファン・サラザンが1分53秒658という全体最速タイムを叩き出し、トヨタ関係者に喜びが走った。
しかし、サラザンから交替したニコラス・ラピエールは遅いクルマの追い抜きに手間取ったばかりか、4輪コースオフの判定を取られてタイムを伸ばすことができなかった。その結果、2人の平均タイム1分54秒701は#9号車をグリッド3番手に着けることになった。
■小林可夢偉、アタックラップで前方マシンがスピンの不運・・・
#9号車に代わってポールポジション獲得のチャンスを得たかに見えたのがマイク・コンウェイと小林可夢偉がタイムアタックを担当した#7号車だった。まずコンウェイが1分53秒911のタイムを出して小林にバトンタッチ。
しかし、小林がタイムアタックに入った周の最終コーナー出口で、直前を走っていた車両がスピン。小林は急制動で追突を避けたがタイムアタックは不可能となってしまった。次の周に再度アタックを試みるも1分55秒476が精一杯、コンウェイのタイムと平均した1分54秒693はライバルに僅か0秒6届かず、2番手グリッドに甘んじた。
■中嶋一貴の8号車はセッティングに苦戦
中嶋一貴とセバスチャン・ブエミが駆った#8号車は少々苦戦となった。午前中の公式練習での車両の違和感を検証した結果、予選に向けてセッティングを修正。しかし、それが功を奏さず、2人のドライバーは目標のタイムに届かず、平均タイム1分54秒907で4番手グリッドとなった。
■どちらのダウンフォース仕様も速さを発揮
ル・マン24時間レースに向けての準備の意味もあり直線速度を重視したロー・ダウンフォース空力仕様か、あるいはコーナーでの安定性を狙ってのハイ・ダウンフォース空力仕様か、どちらがスパ・フランコルシャンに適するか、予選の結果では大きな差がなく、非常に接近したパフォーマンスを発揮した。
予選の速さがそのまま6時間の長丁場の決勝レースに反映されることは少なく、コース上の混雑、アクシデント、天候の変化、タイヤの性能低下、ピット作業等、レースを混乱させる要素は幾つもある。
しかし、昨今の耐久レースはスプリントレース同様の速さとクルマの信頼性の高さが勝負の胆になる。TOYOTA GAZOO Racingとポルシェの激突になることは必至だが、トヨタは勝利を狙いに行く。
6時間レースは、5月6日(土)午後2時半にスタートを切る。
■【予選結果】WEC第2戦スパ6時間
順 | No. | ドライバー/車種 | タイム |
---|---|---|---|
1 | 1 | ジャニ、ロッテラー、タンディ/ポルシェ919ハイブリッド | 1:54.097 |
2 | 7 | 小林可夢偉、コンウェイ/トヨタ TS050 HYBRID | 1:54.693 |
3 | 9 | サラザン、国本雄資、ラピエール/トヨタ TS050 HYBRID | 1:54.701 |
4 | 8 | 中嶋一貴、ブエミ、デビッドソン/トヨタ TS050 HYBRID | 1:54.907 |
5 | 2 | ベルンハルト、バンバー、ハートレー/ポルシェ919ハイブリッド | 1:55.440 |
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