名門F1チームであるマクラーレンと組み、パワーユニットサプライヤーとしてF1復帰を果たして3年目を迎えたホンダだが、今年のパワーユニットも信頼性とパフォーマンスの両面でトラブルを抱えてしまっている。
そして、このほどF1の新オーナーとなったリバティ・メディアが中心となってホンダがライバルメーカーにキャッチアップできるよう手助けに動くかもしれないと報じられている。
■ホンダの不振はF1全体にとってマイナスイメージ
スペインの『El Confidencial(コンフィデンシアル)』によれば、リバティ・メディアも復帰3年目を迎えるホンダがこれほどまでにトラブルを抱えているのはF1全体のイメージにとってかんばしいものではないとの受け止め方をしているのだという。
現在、フォルクスワーゲンなど、新たにF1参戦を検討している自動車メーカーもあると言われている。だが、ホンダでさえこれほど苦戦を強いられるという状況が続けば、そうしたメーカーたちがF1進出に二の足を踏むことにつながる可能性があるからだ。
■ライバルメーカーもホンダの支援に動く?
そして、最近の報道ではホンダの不振を見かねたメルセデスが、F1全体のレベルアップという大義のためにホンダが苦境から抜け出すための支援に乗り出すかもしれないとの報道さえ行われている。
「いくつかのライバルメーカーでさえ(ホンダを)助けたいと考えているだけに、一層深刻な状態だ」と『El Confidencial(コンフィデンシアル)』は書いている。
こうした報道で伝えられているF1やライバルによるホンダ支援というものが具体的にどういうものかは分からない。だが、こうしたことが報じられているという事実が、ホンダが今いかに苦しい状況に置かれているかということを鮮明に表しているのは確かだ。
■エンジン大家のイリエンがホンダをサポート?
一方、昨年までレッドブルやルノーの支援を行っていたマリオ・イリエン率いるイルモア社が今年マクラーレンの市販車部門と契約を結んだことが明らかとなっている。
そして、そのF1エンジン専門家として知られるイリエンが現在は積極的にホンダの開発サポートにかかわっているのではないかともうわさされている。
マクラーレンはこのうわさに関してコメントを行っていない。だが、ホンダF1プロジェクト責任者の長谷川祐介は、次のように語っている。
「私たちはできることは何でもやっています。外部の人材も起用していますし、3月初旬以降、組織改編にも着手しています」
■バーレーンテストでは明るい兆しも
非常に苦しい状況に置かれているホンダだが、少しずつ光明が見えつつあるのも事実だ。
前戦F1バーレーンGPの翌週にバーレーン・インターナショナル・サーキットで今季最初の公式シーズン内テストが2日間にわたって行われた。だが、その初日にもホンダのパワーユニットに問題が発生し、マクラーレン・ホンダはわずか17周しか走行を行うことができずに終わっていた。
ところが、翌日には信頼性がかなり改善され、ステアリングを握ったストフェル・バンドーンは81周を消化し、全体で4番手となるタイムも刻んでみせている。これは今週末に行われるF1第4戦ロシアGP(30日決勝)に向けて非常に明るい兆候だと言えるだろう。
ドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』は、ホンダはソチで行われるロシアGPに新しいMGU-H(熱エネルギー回生システム)を持ち込むことになると報じており、ホンダの広報担当も「我々はまだライバルたちに後れをとっています。しかし、我々は正しい方向に進みつつあります」と語っている。
■近いうちにザウバーへの供給発表も?
さらに、2018年にホンダがザウバーにパワーユニットを供給することになりそうだとのうわさもささやかれ続けているが、数日以内にこれが正式に発表されるだろうとも言われている。