今季からF1ではドライバーに対するレース中のペナルティーを減らそうという方向に動いていることは既報の通りだ。
実際のところ、先週末に上海で行われたF1中国GPでも、これまでよりもレース中に審議対象となる案件が減少していた。さらに、昨年までであれば恐らくペナルティーが科されていたであろうクラッシュに関しても何もおとがめがなかったというケースも発生している。
■昨年までならペナルティーだった可能性大のストロール
例えば、レース開始早々にウィリアムズのランス・ストロールとフォース・インディアのセルジオ・ペレスが接触事故を起こしていた。
ターン10を抜けようと左にステアリングを切ったストロールに、その内側を走行していたペレスが接触。これでコース外のグラベルに押し出されてしまったストロールは初のQ3進出という有利な位置を生かせず、そこでレースを終えてしまっていた。
このレースでFIA(国際自動車連盟)の競技委員を務めていた元F1ドライバーのミカ・サロは、母国フィンランドの『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』からこの件について質問された際、次のように語った。
「もし誰かが罰せられなければならなかったとしたら、それはストロールのほうだっただろうね」
「その前のコーナーでは、彼はスペースを残していたんだ。ところが次のコーナーでは彼はペレスがすでにとなりにいるにもかかわらずインに入ってきていたからね」
■今後もペナルティーは必要最低限に
だが、今年のF1は、たとえ接触が起きようとドライバー同士により激しく戦わせようという新たな基本方針が採用されている。昨年までのように細かなことでペナルティーを与えるよりも、よりダイナミックな戦いがコース上で展開されるほうがファンにとっては魅力のあるレースとなるためだ。
「私は常々それは正しいアプローチだと考えていたよ。ペナルティーがあまりにも多くなりすぎていたからね」
そう語ったサロは、次のように付け加えた。
「実際のところ、ペナルティーは黄旗振動時や、あるいはセーフティカーが導入されているときに追い抜きをしたというような場合に限られるべきだよ。もしくは非常に重大なルール違反が認められたときなどにね」
ちなみに、中国GP決勝では、VSC(ヴァーチャル・セーフティカー)導入時と、実際にセーフティカーが導入された際にいずれも他車を追い抜く違反行為があったとしてルノーのニコ・ヒュルケンベルグにそれぞれ5秒加算、10秒加算ペナルティーが科されていた。