2021年以降に導入される新F1エンジンに関する情報が少しずつ明らかになってきた。
V6ターボエンジンとERS(エネルギー回生システム)を組み合わせた現在のF1パワーユニットは2020年まで継続使用されることが契約上確定している。
だが、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は3月31日(金)に関係者を集めて会合を開き、2021年以降に導入する新規格エンジンに関する話し合いを行った。
■新F1エンジンのキーワードは「シンプル」「安価」「パワー」「音」
その会合では、現行パワーユニットのコンセプトは継承しつつ、より「シンプル」かつ「安価」ながら、よりレースを激しくするための「パワー」と観客を魅了する「音」を備えたものにするということが合意されている。
元フェラーリやブラウンGPを王座に導いた名エンジニア、名チーム代表として知られ、現在はF1モータースポーツ責任者を務めるロス・ブラウンは、今後のエンジン規格見直しについて次のように語った。
「F1カーの継続可能なコンセプトを検討する前に、エンジンをどうするかをはっきりさせる必要がある」
「すべてそれにかかっているのだからね」
■有望視されるのはV6ツインターボ+KERS
そして、このほどドイツのモータースポーツ専門誌である『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』が、2021年以降のF1エンジン規格に関する情報を伝えている。
それによれば、現段階で有望視されているのは、1,200馬力を生み出すV6ツインターボだという。
さらに、F1エンジンのシンプル化とコストダウンを目指す上で、使用されるバッテリーやターボチャージャーは統一規格に標準化されるとともに、現在のパワーユニットに採用されているMGU-H(熱エネルギー回生システム)は撤廃され、2013年まで使用されていたKERS(運動エネルギー回生システム)のみがハイブリッドシステムとして残されることになりそうだとその記事は伝えている。
■ツインターボ化の理由は?
元F1ドライバーであり、現在はドイツのテレビ局でF1解説者を務めるマルク・スレールは、それが妥当な解決策になるだろうと次のように語っている。
「2つの問題があるんだ」
「まず、FIAはハイブリッドシステムを捨てることを望んでいない。だが、シングルターボだと音が小さくなってしまう」
「次に、現在のF1における唯一かつ最大の問題は音だ。だが、大きなターボ一個だけではこの問題の解決には至らない。2つのターボが必要なんだ」
そう述べたスレールは、次のように付け加えている。
「だが、そうなると排気熱からエネルギーを得ることは技術的に難しくなる。だから、FIAとしてもMGU-Hを犠牲にして、ファンによりよい音を提供することが必要になるだろうね」