メルボルンで行われた2017年F1開幕戦オーストラリアGP決勝で、先頭でチェッカーフラッグを受けたのは、昨年3年連続でF1チャンピオンチームとなったメルセデスAMGのF1カーではなく、セバスチャン・ベッテルが乗る赤いフェラーリだった。
●【決勝結果と画像】F1オーストラリアGP決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
このベッテルの勝利により、2017年のF1シーズンはメルセデスAMG対フェラーリという構図で展開されていくことになるだろうと確信した者も少なくないようだ。
■ベッテルに貸しができたとレッドブル
ベッテルがメルボルンで勝利したことを受け、ライバルチームであるレッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、ベッテルはフェルスタッペンに「ビールをおごらないとならないね」との冗談を語っている。
これは、ベッテルよりも先にピットストップしてタイヤを交換したルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)をマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がずっと押さえこんでいたことでベッテルが前に出られたことに言及したものだ。
だが、ホーナーも開幕戦のベッテルは本当に勝利に値するものだったと認めている。
■イタリアメディアもフェラーリを称賛
昨年はフェラーリに対して手厳しい論評を行っていた地元イタリアのメディアも、今季のフェラーリには大いに期待をしているようだ。例えば、『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』は、「ベッテルが手にした新しいフェラーリは、メルセデスAMGに対抗できる強力な武器だ」と書いている。
また、レッドブルのジュニアチーム、トロロッソのチーム代表を務めるフランツ・トストも、「赤(フェラーリ)対シルバー(メルセデスAMG)の戦いが1年中楽しめると思うよ」と語っている。
昨年は1勝もあげることができずに終わったフェラーリにとって、今回の勝利が大きな意味を持つものであるのは確かだ。レース後、チーム代表のマウリツィオ・アリバベーネの目には涙さえ浮かんでいたし、フェラーリ会長であるセルジオ・マルキオンネもメディアに対して、「勝たなくてはならないときを迎えていた」という趣旨のコメントを行っている。
■フェラーリの強さを認めるメルセデスAMG
オーストラリアGP決勝で、ピット戦略でハミルトンの前にベッテルが出たとき、メルセデスAMGのトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)が思わずデスクをたたきつけたところが国際映像で紹介されてしまっていた。
ヴォルフは、ほほ笑みを浮かべながらそのときのことを振り返りながら、「私はレース中に感情的にならないようにする必要があるね」と語ったものの、「現時点ではフェラーリが我々に勝ったということを受け入れることが重要なんだ」と、フェラーリの強さを認めるコメントを行っている。