2014年に導入されたパワーユニットと呼ばれるハイブリッド方式のF1エンジンだが、それまで使われていた自然吸気エンジンに比べると、迫力ある音が失われ、より複雑になり、さらに非常に高額となることもあって、これまで絶えず批判的な見方をされることが多かった。
だが、現行パワーユニットに関しては、F1と統括団体であるFIA(国際自動車連盟)、そして各F1チームとの間に結ばれた契約により2020年までは継続使用することが決まっている。
■ハイブリッドエンジンを進化させるべきだとロス・ブラウン
しかし、新F1オーナーのリバティ・メディアからF1モータースポーツ責任者に指名されたロス・ブラウンは、2021年以降には現在のパワーユニットとは異なるエンジン導入を目指すべきだとのコメントを行っていた。
そのブラウンのコメントを、自然吸気エンジンの復活を望むものだと受け止めた者もいたようだが、実はその真意は別のところにあったようだ。
ブラウンは今週、2021年以降にF1が自然吸気のV型8気筒やV型10気筒、あるいはV型12気筒といったエンジンに逆戻りすることは「考えられない」とコメントし、次のように付け加えた。
「しかし、我々はハイブリッドエンジンを進化させようと考えているところだ」
■V10やV12は過去のものだとFIA会長
もともとF1が現在のハイブリッドエンジンを捨てて自然吸気エンジンに戻すことには反対の立場をとっているFIA会長のジャン・トッドも、ドイツの『SID通信』に次のように語った。
「誰もがF1をよりよくしていこうというビジョンを描いている」
「我々は新たなチャンスや革新について考えなくてはならないし、常に前進を図っていかなくてはならない。だが、ハイブリッドエンジンを捨て去ることなど考えられない」
そう述べたトッドは、次のように付け加えた。
「過去のV10やV12は、そのまま過去にとどめておくべきだ。毎年新たなテクノロジーのために金を使うのは不合理だとしてもね」