27日(月)からスペインのバルセロナで今年最初のF1公式シーズン前テストが始まった。だが、昨年とはうってかわってフェラーリが沈黙を守り続けている。
■コメントを禁じられたベッテル
1年前の今ごろには、フェラーリ会長のセルジオ・マルキオンネがメルセデスAMGからF1タイトルを奪い取ると公言。結果として大恥をかいた形となったマルキオンネは、今年は逆に何もしゃべらないという作戦に出たようだ。
フェラーリの初日テストを担当したセバスチャン・ベッテルは、27日のセッションで最多となる128周を消化し、ミディアムタイヤながらメルセデスAMGのルイス・ハミルトンに次ぐ2番時計を刻んでみせた。今季に期待を抱かせるいいスタートを切ったフェラーリだが、実はベッテルはこの日メディアに話をすることを禁止されていたことが明らかとなった。
フェラーリ専門のジャーナリストとして知られるイタリアのレオ・トゥッリーニは、自身のブログに次のように書いている。
「フェラーリは語らない。だが、彼らはテスト初日の結果に満足している」
トゥッリーニによれば、メディアと話すことを禁止したのは会長のマルキオンネ本人だという。
■フェラーリの姿勢を批判する伊メディア
だが、特にイタリアのメディア関係者の中には、こうしたフェラーリのやり方に対して不満を抱えている者も少なくない。
『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』の記者を務めるルイジ・ペルナは、フィンランドの『Iltalehti(イルタレティ)』紙に対し、「控えめであることは受け入れられる」と語り、次のように続けた。
「ジャーナリストはエンジニアのようなものだ。我々はファンに対してフィードバックを与えることができなくてはならない。ファンにはドライバーの言葉を聞く権利があるのだからね」
イタリアの『La Repubblica(レプブリカ)』は、こうしたフェラーリの姿勢は容認できないと次のように主張している。
「報道管制によってシーズンを始めるなど、笑止千万だ」
「悲しいキリスト生誕劇のような新車発表の次はこの意味のない報道管制だ。マルキオンネが求めた控えめな姿勢は理解もできる。だが、今回のような軽率なまねはまったく理解できない」
■フェラーリに関する質問を受けるライバルチームたち
ともあれ、フェラーリ自らが情報発信を控えている今、ライバルチームの関係者やテレビ解説者などにフェラーリに関するコメントが求められるという状況が発生しているようだ。
そのひとりが、天才F1カー設計者とも言われるレッドブルの最高技術責任者エイドリアン・ニューイだ。
ニューイは、27日のテスト初日を終えて次のように語った。
「メルセデスAMGは非常に洗練されているように見えるね。フェラーリに関しては、サイドポッドのエリアについてはよく理解できないな。私にはあそこは非常に複雑に見える」
トロロッソのテクニカルディレクターを務めるジェームス・キーも、フェラーリに関して質問を受けると次のように答えた。
「フェラーリは非常に興味深いね。ほかのクルマとは違うよ」
■本当の力が分かるのはこれから
さらに、元F1ドライバーであり、近年はF1解説者として活躍しているマルク・スレールもドイツの『Bild(ビルト)』に次のように語っている。
「私はフェラーリに関していい印象を持ったよ。彼らが冬の間にいい仕事をやり遂げたことが分かるね」
「(エンジンの)音を聞けば、フェラーリはメルセデスにもひけをとらないよ」
そう述べたスレールは、次のように付け加えた。
「これから、それがパフォーマンスにつながっていくのかどうかを確かめないとね」