レッドブル首脳のひとりであるヘルムート・マルコが、現在F1カーに導入されているオーバーテイク支援システムであるDRS(空気抵抗低減システム/可変リアウイング)の廃止には賛成だと語った。
■DRS廃止を検討するロス・ブラウン
2011年からF1でのオーバーテイク増加を目的として、特定のエリアにおいてリアウイングの空気抵抗を削減してスピードアップを図ることができるDRSが導入されている。今年で導入7年目を迎えるこのシステムには、これまでにもF1での戦いにこうした人工的な追い抜き支援システムを設けることはおかしいとの意見があった。
F1の新オーナーとなったリバティ・メディアは、有名な元F1エンジニアであるロス・ブラウンをF1のスポーツ担当マネジングディレクターに据えたが、そのブラウンはこのDRSを廃止したいという考えを示し、次のように語っている。
「それが人為的なものであることは誰でも知っている。我々はもっと純粋な解決策を見いだすべきだ」
■DRSは本当の追い抜きにあらず
そして最近、レッドブルのマルコもそのブラウンの意見に賛成だと『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「2人の男が戦っているとき、DRSがあれば前にいる者はどうしようもない。これは本当のオーバーテイクだとは言えないよ」
一方、今年から大きく空力レギュレーションやタイヤレギュレーションが変わったことにより、ダウンフォースが大きく、タイヤグリップが大きくなった2017年のF1カーではブレーキングに必要な距離もこれまでよりも短くなると想定されている。つまり、もしDRSのようなシステムがなければ、追い抜きはこれまでよりもかなり減ってしまうだろうと考えている者も少なくない。
■ブレーキング技術で勝負すべき
だが、マルコはそうした意見に対して次のような反論を行っている。
「極限でのブレーキングはトップドライバーにとって非常に重要とされる能力のひとつだ。(アラン)プロストと(アイルトン)セナなどが残したF1の歴史を振り返れば、それ(ブレーキング)によってレースが決することもあったんだからね」