ザウバーのチーム代表を務めるモニシャ・カルテンボーンが、2017年にドライバー契約を結んだ22歳のパスカル・ウェーレインはもはや「ジュニアドライバー」などではないと主張した。
メルセデスの若手ドライバー育成プログラムに所属しているウェーレインに関しては、メディアにおいても「ジュニア」と形容されることが多くなっている。
実際のところ、突然引退してしまった2016年のF1チャンピオン、ニコ・ロズベルグの後任としてメルセデスAMGが選択したのはウィリアムズのバルテリ・ボッタスであり、ウェーレインを昇格させなかったのはまだ「経験不足」だと説明したことからも、そういうイメージが定着してしまったのは間違いないだろう。
2015年にDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)の史上最年少チャンピオンとなったウェーレインは、メルセデスの後ろ盾により2016年にマノーからF1デビュー。今季はザウバーに移籍して2年目のF1シーズンを迎えることになる。
■ザウバーの目標は最下位争いからの脱却
財政難により一時はチーム消滅寸前のところまで行っていたザウバーだが、2016年シーズン半ばに新出資者が登場したことで一命を取りとめ、2017年シーズンもグリッドにクルマを並べることができる状態となっている。
そして、ザウバーでは今季、かつてホンダやブラウンGPで活躍したベテランエンジニアのヨルグ・ツァンダーを新たなテクニカルディレクターとして迎え入れている。そのツァンダーは6日(月)に発表されたチームリリースの中で次のように語っている。
「我々の目標は自分たちを中団グループに定着させることだ」
2016年シーズンは第19戦までノーポイントで最下位に位置していたザウバーだが、第20戦ブラジルGPでフェリペ・ナッセが9位入賞を果たし、これによってマノーを逆転してランキング10位で終えている。つまり今年の目標は、少なくとも最下位争いグループからの脱却ということだ。
■ウェーレインには期待できるとカルテンボーン
現在唯一の女性F1チーム代表であるカルテンボーンは、そうした状況にあるチームが「ジュニアドライバー」と契約することはありえないとドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』に次のように語った。
「もし私たちがジュニアと契約したのであれば、私たちは彼にF1カーではなくおもちゃのクルマを与えたほうがいいでしょうね」
ウェーレインは、1月に行われたROC(レース・オブ・チャンピオンズ)でレース中にクラッシュし、現在は首に負ったけがの治療中だと伝えられており、27日(月)からバルセロナで始まるF1シーズン前テストへの参加が危ぶまれている。
だが、カルテンボーンはウェーレインに関して心配などしていないと次のように付け加えた。
「パスカルはF1を含むこれまでのキャリアにおいてその才能を証明してきました。そして今後もさらに素晴らしいキャリアを送ることは間違いありません」
■ウェーレインには負けたくないとエリクソン
一方、今年ウェーレインをチームメートとして迎えるマーカス・エリクソンは、今季の目標は明確だと次のように語った。
「僕の目標は彼(ウェーレイン)に勝つことさ。ほかに何があるって言うんだい?」
「彼はもう長いことメルセデスのプログラムに所属してきているし、彼ら(メルセデス)は彼を信頼しているようだからね」
過去2シーズンのランキングではチームメートだったブラジル人ドライバーのフェリペ・ナッセに負けてしまったスウェーデン出身ドライバーのエリクソン。だが、スポンサーを失ったナッセがチームにとどまることができなかったのに対し、チームに潤沢な資金を持ち込めるエリクソンは今年もザウバーで3年目、通算では4年目のF1シーズンを迎えることになる。
26歳のエリクソンは、2017年のザウバーについて次のように語った。
「時間はかかるだろうけど、昨年の後半だけを見ればかなりの進歩を遂げることができた。そして経験のある人材がチームに加わることにより、その違いが出てくるはずさ」