メルセデスAMGの事実上のチーム代表であるトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)が、育成ドライバーを採用しなかった理由を説明した。
2016年のF1チャンピオンになったニコ・ロズベルグが引退し、空いたシートをつかんだのは、メルセデスAMGの育成ドライバーではなく、ウィリアムズのバルテリ・ボッタスだった。
■主眼は成長させること
メルセデスAMGの育成ドライバーであるパスカル・ウェーレイン(ザウバー)やエステバン・オコン(ルノー)を選ばなかった理由について、ヴォルフは『L’Equipe(レキップ)』紙に次のように語った。
「確かに、パスカルとエステバンはわれわれの育成ドライバーだ」
「だが、われわれの主眼は彼らを成長させることであって、準備ができていない状態で不適切な環境に放り込むことじゃない」
■マクラーレンを反面教師に
ヴォルフは、ウェーレインの才能が問題だったのではないと話す。
「彼は速いし優秀だから、ずっと候補に入っていた」
「しかし、彼はまだ成長過程にある。間違いを犯すことができる環境で学ぶ必要があるんだ。このチーム(メルセデスAMG)では、それができない」
「セルジオ・ペレスやヘイキ・コバライネン、ケビン・マグヌッセンを見てみれば分かる。彼らはマクラーレンに加わるのが早すぎた。まだ十分な準備ができていなかったんだ」
オコンについても同様だとヴォルフ。
「特に彼の場合、既にフォース・インディアと契約していたしね」
「移籍させるのが早すぎてキャリアをつぶすようなことはしたくない。私は、才能ある若者を使い捨てにしたくないんだ」
■レッドブルはまだ間違いが許される状況にあった
これに対して反論もある。例えばレッドブルは18歳だったマックス・フェルスタッペンをトップチームに引き上げて成功した。
この指摘にヴォルフは次のように答えた。
「マックスにも成長の時期があったことを忘れてはいけないよ。レッドブルは彼に万全の準備をさせた。まず金曜日午前のフリー走行で走らせ、次に1シーズン半をトロロッソで過ごさせた」
「レッドブルに移籍したあとも、彼に課されたのはタイトル争いでも、ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)のようなドライバーと競い合うことでもなかった。われわれが19勝したのに対して、彼は1勝だし、常にトップだったわけじゃない」
「それに、彼はミスも犯した。モナコやオースティン(アメリカGP)がそうだ。若いドライバーはそれも許されるべきなんだ。彼らに2度目のチャンスはないのだからね」