今季からルノーで戦うことになったニコ・ヒュルケンベルグが、現在の状況に満足していると主張した。
2016年シーズンにコンストラクターズランキング4位となったフォース・インディアから、フルワークス体制でのF1再挑戦2年目を迎えるルノーに移籍することを決めたヒュルケンベルグだが、もしルノーへの移籍を思いとどまっていれば、今ごろはメルセデスAMGのシートを獲得するチャンスも生まれていたかもしれない。
■ルノーへの移籍決定は早すぎた?
2016年のF1チャンピオンとなったニコ・ロズベルグがシーズン終了後に突然の引退表明を行ったものの、トップドライバーたちはすでにほかのチームとの契約に縛られており、メルセデスAMGでは現在ウィリアムズとの間でバルテリ・ボッタスの契約譲渡の話し合いを行っている。
ヒュルケンベルグは本来はフォース・インディアとの間に2017年までの契約を結んでいた。だが、財政的に厳しい立場に置かれているチームが報酬の支払いを期限通りに行うことができなかったことなどにより、ヒュルケンベルグが契約解除条項に基づいて中途で契約解除を行うことができ、ルノーへの移籍が実現したのだと考えられている。
仮にフォース・インディアにとどまるという判断を行っていたとすれば、今ごろはメルセデスAMGに移籍できるチャンスも十分に生まれていたはずだ。
■ルノーに移籍できて満足だとヒュルケンベルグ
そのことについてどう思っているかと質問されたヒュルケンベルグは『Bild am Sonntag(ビルト・アム・ゾンターク)』に、「メルセデスは長期間にわたってフォース・インディアのエンジンパートナーだし、夏にはホッケンハイム(ドイツ)で共同で宣伝活動を行ったりもしたよ」と答え、ほほ笑みを浮かべながら次のような冗談を付け加えた。
「ロズベルグは、もしタイトルがとれたら引退するよってこっそり教えてくれることもできただろうにね」
しかし、29歳のヒュルケンベルグはルノーへ移籍したことに満足していると次のように主張した。
「僕の目標はマニュファクチャラー(メーカー系チーム)で走ることだったんだ。ルノーに移ることでそれが実現できた。僕たちはどちらもまだ達成していない目標を抱えているんだ」
■自分が高く評価されていると感じている
実際のところ、ヒュルケンベルグに関しては現役ドライバーの中では最高レベルの腕を持っているとの評価もある。だが、同じドイツ出身のロズベルグや、2010年から4年連続でF1チャンピオンとなったセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)に比べるとどうしてもメディアで取り上げられる機会も少ない。
「フェラーリかメルセデスAMGで走っていない限り、メディアでは扱われないし、ドライバーのパフォーマンスとクルマのパフォーマンスが結びつくわけでもないんだ」
「それでも、僕は自分のパフォーマンスが高く評価されていると感じているよ。特に世界各国でね」
■リスクを負うのは金じゃなくサーキットで
そう語ったヒュルケンベルグだが、ルノーとはかなり好条件での契約が結ばれたと考えられており、うわさでは2,000万ドル(約23億円)に上るようだとも言われている。
「僕が金額を口にしたことはないよ」
そう語ったヒュルケンベルグは、次のように付け加えた。
「だけど、金銭的なことに関しては僕は典型的なドイツ人だろうね。1銭も無駄にしたくはないし、後で悔やまないと思えるものにしかお金は使わないよ。それよりは、サーキットでリスクを負う方がいいね」