2016年のF1最終戦アブダビGP決勝で、ルイス・ハミルトンがチームからの指示を無視したことに対し、メルセデスAMGが何らかの処分を科すことになるだろうと言われていたが、この問題の決着がつくのはもう少し先のことになりそうだ。
■重い処分がうわさされていたハミルトン
ハミルトンが自身4度目となるF1タイトルを獲得するには、自分が優勝するとともに、ポイントリーダーのニコ・ロズベルグがアブダビで4位以下となることが必要だった。
このため、ハミルトンはレース終盤にわざとペースを落とし、2番手を走行していたロズベルグにライバルチームのドライバーたちが攻撃をしかけられるように仕向けていた。メルセデスAMGは、このときハミルトンにペースを上げるよう指示を出していたが、ハミルトンはそれを完全に無視して最後までロズベルグにプレッシャーをかけ続けていた。
そしてメルセデスAMGではこのハミルトンの「命令違反」を重く受け止めており、最悪の場合はチーム追放などの厳しい処分さえ考えられると報じられていた。
■この件はもう終わったとニキ・ラウダ
だが、メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダは今週、次のように語り、もうその問題は終わったことだと示唆した。
「彼(ハミルトン)がアブダビでどういうレースをしたかについては、何も問題はない」
■優先度が変わっただけだとトト・ヴォルフ
だが、メルセデスAMGの実質的チーム代表であるトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)は、まだこのハミルトンの問題に関しては決着がついていないと考えているようだ。
ヴォルフは、ドイツの『DPA通信』に次のように語った。
「このことはまだ内部的に話し合いを行うべき課題として残っているよ」
「だが、最近起こったこと(ロズベルグ引退問題)を受け、この問題が以前と同じ優先度ではなくなったということだ」
ロズベルグの突然の引退発表により、急きょ2017年のドライバーラインアップ再考を余儀なくされたメルセデスAMGとしては、確かにハミルトンへの処分うんぬんのために時間を費やせる状況ではなくなったのは確かだろう。
■これから話し合うべきことは多い
「しかし、ひとつだけはっきり言えることがある。来年は我々の価値やレース哲学をもっと進展させたいと思っている。こうした観点からは、アブダビで起こったことに学ぶことがたくさんあるということだ」
そう続けたヴォルフは、次のように締めくくっている。
「今後数週間のうちに、みんなで集まって話し合いを始めていくことになるし、何よりも、2人のドライバーの状況を明確にしていきたいと思っている」