先週末に行われた2016年F1最終戦アブダビGP決勝で、ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)がチームメートのニコ・ロズベルグをライバルチームのドライバーに抜かせようとわざとペースダウンしたことが物議をかもしている。
●ドライバーから見ればハミルトンのとった戦略は「当然」と元F1ドライバーたち
ハミルトンがチームの指示をあからさまに無視したことをメルセデスAMGも重く受け止めていると言われているが、ハミルトンとチームの関係もかなりぎくしゃくしたものとなっているようだ。
■タイヤテストを「早退」したハミルトン
さらに、11月29日(火)にはアブダビGPの舞台となったヤス・マリーナ・サーキットでピレリの2017年仕様タイヤの最終テストが行われたが、最終戦で逆転タイトル獲得がならなかったハミルトンがそのテストへの参加を拒否したようだとのうわさもささやかれていた。
実際のところ、ハミルトンは当初の予定通り29日のテストに顔を見せたものの、「体調がすぐれない」との理由により午前中だけでテストを打ち切り、午後は待機していたメルセデス所属ドライバーのパスカル・ウェーレイン(マノー)があとを引き継いでテストを行うという事態となっていた。
ハミルトンには、10月に行われたタイヤテストも足の痛みを訴えて参加を回避していたという経緯もある。
■ハミルトンへの「処分」は?
こうした中、メルセデスAMGではアブダビGPで命令違反を犯したハミルトンに何らかの処分を行うのではないかとも言われているが、チームの広報担当者はこれに関して次のように語っている。
「時間的な制約などもないし急ぐ必要はない。現在、我々は新チャンピオン誕生を祝うことに集中しているところだ」
■メルセデスAMGにき然とした態度を望むスチュワート
だが、現役時代に3度F1王座についた伝説的元F1ドライバーであるジャッキー・スチュワートは、同じイギリス人のハミルトンに対してかなり辛口のコメントを行っている。
「彼は小さなバレリーナになれるんじゃないかと思うよ」
通信社『PA Sport(PAスポーツ)』にそう語った77歳のスチュワートは次のように続けた。
「ああいう規模の多国籍企業が、正しいやり方をとらない1人の男によって脅かされるようなことがあってはならないよ」
「彼にこういう選択肢を突きつけるべきだよ。『我々のやり方に従うか、あるいは出て行くか、どちらかを選べ』とね」