NEXT...F1開催スケジュール

マクラーレンに何が起こったのか? デニスと共同オーナーたちに和解の可能性は?

2016年11月18日(金)18:41 pm

長年にわたって君臨してきたマクラーレン・グループ最高権威の座から引きずり降ろされてしまったロン・デニスだが、その背景にあったのは共同オーナーたちとの確執だったようだ。

●【マクラーレン公式声明】ロン・デニス正式解任 複雑な体制のまま来季へ

■以前からくすぶっていた共同オーナーたちの不和

マクラーレンは15日(火)に、デニスが来年1月の契約満了とともにグループ最高経営責任者の座から降りることになり、すでに「ガーデニング休暇」と呼ばれる休職状態に置かれたことを明らかにした。

今回の動きは一件突然のように見えたものの、実はデニスと共同オーナーたちとの関係が悪化しているのではないかとのうわさはかなり以前からささやかれていた。

かつて自らが立ち上げたジョーダンF1チームを率いていたエディ・ジョーダンはアイルランドのテレビ局『RTE』に次のように語った。

「以前から関係は悪化していたし、ロンのマネジメントのスタイルが共同オーナーたちとはうまく合っていなかったんだ」

■デニスが共同オーナー排除の動きをとったことが最大の原因

現在、マクラーレン・グループの株式はデニスが25%、マンスール・オジェが25%、そしてバーレーンの国営投資会社マムタラカトが50%を所有している。

そして、デニスが失脚することとなった最大の原因は、デニスが中国の投資家グループに出資させ、オジェやマムカタラトの所有する株式を買収して自分の権力を強化しようと図ったことにあったようだ。

ある匿名の関係者は、『China Daily(チャイナ・デイリー)』に次のように語っている。

「中国の企てはかなり現実的だったし、これがすべての背景にあることは疑いようがない」

「バーレーン側は(株式を)売りたくなかった。それがこの問題を引き起こしたのだ」

■デニスと共同オーナーの関係改善を祈るとエクレストン

すでにデニスがマクラーレン・グループにおける実権を失ってしまったことは明らかだが、F1関係者の中には今回の件を残念だと考えている者が多い。

F1最高責任者であるバーニー・エクレストンは、「困ったことに、今回のことは個人的な問題なんだ」と語り、次のように続けた。

「いったん関係が悪化すれば難しくなるものだ」

「だが、私は彼らがまた再び手を取り合い全員のために問題を解決してくれることを期待しているよ。ロンが大株主であることに変わりはないし、彼はまだ自分の言いたいことが言えるわけだしね」

しかし、現時点においてはマクラーレン・グループの現株主たちが和解に動く可能性はなさそうだ。特に、デニス側はオジェとバーレーンとは裁判を通じてとことん戦うつもりだと明言しているだけに、逆にもっと泥沼状態に陥っていく可能性すらあるかもしれない。

■デニスは最高の賛辞で送られるべきだったとジョーダン

「彼(デニス)がこんな形で去ったのは残念だよ。彼は高等裁判所に持ち込んで争おうとしたものの、それは受け入れられなかった」

そう語ったジョーダンは、次のように続けた。

「ロンは最大の称賛とともに去るべきだったんだ。ブラジルでマッサ(フェリペ・マッサ/ウィリアムズ)が人々から大きな拍手を受けていたようにね」

■裁判官も法定外での和解を期待

先週、デニスはマクラーレン・グループ取締役会が自分を更迭しようとしている動きに対し、裁判所に禁止命令を出すよう訴えを起こしていた。だが、この訴えは裁判所によって受理されなかった。

その訴え不受理をデニスに通告した裁判官のジェフリー・ヴォスも、今回の件は残念だと次のように語っている。

「非常に長きにわたって密接にかかわりあってきていた関係者たちが、このような訴訟に至り、その関係が終わりを迎えるのは非常に異常なことだ」

「関係者の間には彼らが考えているほどの問題はないはずだ。こういう最終局面を迎えたとはいえ、私は彼らに対して裁判以外の方法で和解することができないものかどうか考えて欲しいと訴えたいと思う」

●【マクラーレン・ホンダ】アロンソの意欲にも懸念 株主紛争・・・来シーズン、本当に勝てる体制はできるのか?
●【マクラーレン】ロン・デニス、F1への道

前後の記事
最新ニュースをもっと見る  >
TopNewsの最新ニュースが読めるよ!
facebookフォロー Twitterフォロー RSSでチェック