過去最多の年間21レース開催となった2016年のF1シーズンだが、ついに残すところあと2レースとなった。
現在、ポイントリーダーのニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)は、ディフェンディングチャンピオンであるチームメートのルイス・ハミルトンに19ポイントの差をつけている。仮に次戦ブラジルGP(13日決勝)でロズベルグが優勝を飾れば、ハミルトンの順位に関係なくロズベルグの初タイトル獲得が決まるというチャンスを迎えている。
一方、アメリカとメキシコで2連勝を飾って波に乗るハミルトンとしては残り2戦で何としても勝利を飾り、ロズベルグがどちらかのレースで4位以下に沈むことを期待しなくてはならない。
それでも、何が起きるか分からないのがF1であり、まだ勝利の女神が今年どちらにほほ笑むのかは分からない状態だ。
■メキシコでロズベルグに接触したフェルスタッペン
そんな中、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが、今年のドライバーズタイトルのゆくえを決めるコマになるのではないかと考えている者も少なくないようだ。
先週末に行われたF1メキシコGP(第19戦)決勝では、スタート直後にフェルスタッペンが2番グリッドからスタートしたポイントリーダーのロズベルグに接触。ロズベルグはいったんコース外に押し出されたもののその後すぐにコースに復帰。幸い順位を落とすこともなかった。
だが、メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダは、あのときのフェルスタッペンの行為は「受け入れがたい」ものだったとし、次のように付け加えた。
「彼(フェルスタッペン)はかなり思い上がっているようだ。いまや信じられないほど身勝手な走りをしているよ」
■フェルスタッペンがタイトル争いをぶち壊す?
ドイツの『Bild(ビルト)』を含むいくつかのメディアは、フェルスタッペンが今季残りの2レースにおいてもハード過ぎる戦いを行い、結果としてポイントリーダーのロズベルグや3年連続で4回目のタイトル獲得を目指すルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)とクラッシュし、それが今季のタイトルのゆくえに大きな影響を及ぼす可能性があるのではないかと書いている。
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーも次のようにフェルスタッペンを擁護し、暗にそうした可能性があることを認めるような発言をしている。
「マックスはニコのことをタイトル争いをしているドライバーだとは見ていないんだ。彼(フェルスタッペン)が見ているのは攻撃するチャンスだよ。だからこそ、彼は素晴らしいドライバーなんだ」
だが、元F1ドライバーであり、現在はドイツのテレビ局『RTL』でF1解説者を務めるクリスチャン・ダナーは、フェルスタッペンの態度には問題があると次のように語った。
「彼がメキシコの第1コーナーでやったことは、仲間への敬意に欠けたものだった。しかもそれはポイントリーダーに対してだった」
■フェルスタッペンはあまりにも過激
国際的なメディアの中にも、フェルスタッペンの行為に疑問符をつけているものが少なくない。
イタリアの『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』は次のように書いている。
「フェルスタッペンはチャンピオンにもなれる才能とティーンエージャーの厚かましさを併せ持っている」
「F1が退屈ではなくなるという意味ではいいことかもしれない。だが、彼も基本的なルールは尊重すべきだ」
さらには、フェルスタッペンのような激しい戦いをするドライバーを好むことで知られているF1最高責任者のバーニー・エクレストンですら、メキシコでの一件に関しては「マックスは身を引くべきだった」と語っている。
■ひとつでも順位を上げるために戦っているだけ
だが、フェルスタッペンのマネジャーを務めるレイモンド・フェルミューレンは、『Bild(ビルト)』に次のように語った。
「マックスは力強いレースをした」
「彼はコーナーをショートカットしたとしてペナルティーを受けた。だが、ロズベルグやハミルトンにはペナルティーはなかった。それは二重基準だよ」
「我々はひとつでも順位を上げるために戦っている。だが、F1タイトル争いに介入しようとしているわけではないよ」
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