どうやら、ダニール・クビアト(トロロッソ)がこのままF1の舞台から姿を消してしまうという事態を迎えることは避けられたようだ。
■F1キャリアの危機を迎えていたクビアト
レッドブルの育成ドライバーとして19歳でトロロッソから2014年にF1デビューを飾ったクビアトは、セバスチャン・ベッテル(現フェラーリ)の離脱により、翌年にはトップチームのレッドブルへ移籍。まさに順風満帆のF1キャリアを送っていた。
だが、今年はその様相が一変してしまった。母国GPとして迎えた第4戦ロシアGP後にマックス・フェルスタッペンと入れ替わりにまたトロロッソへと降格されてしまったクビアトは、その後も調子に乗れず、レッドブルでは来季はクビアトとの契約延長は行わないことを決めたようだとのうわさまでささやかれていた。
しかも、レッドブル育成ドライバーであるピエール・ガスリーという有望なフランス人若手ドライバーが台頭してきており、来季はガスリーがトロロッソでカルロス・サインツのチームメートとなり、クビアトは22歳の若さでF1でのチャンスを失ってしまうことになりそうだと考えていた者も少なくはなかったようだ。
■シーズン後半の復調が契約更新のカギに
だが、このほどロシアの『Tass(タス通信)』や『RIA Novosti(ロシア・ノーボスチ通信社)』を含む複数のメディアが、クビアトがレッドブルとの間で2017年から2018年まで2年間に及ぶ新たな契約を結んだようだと報じた。
もちろん、レッドブルとの契約が延長されたからといって、それが自動的にF1シートを確保したことになるわけではない。フルタイムドライバーから控えドライバーに降格されるという可能性もないわけではないからだ。だが、今回の報道によれば、レッドブルはシーズン後半のクビアトの復調を大きく評価しているという。さらに、ガスリーのほうが現在参戦中のGP2シリーズで浮き沈みの多いレースが増えていることも、クビアトの後押しにつながっているとされている。
■残りの5レースが最後のテストか?
トロロッソのチーム代表を務めるフランツ・トストも、クビアトが最近調子を取り戻してきたことばかりでなく、クビアトがまたやる気を取り戻し、レースに前向きに臨めるようになったと発言していることに対してうれしく思うとマレーシアGPが行われたセパンで次のように語っていた。
「彼は非常によいパフォーマンスを発揮してみせたし、彼がまだF1を愛していると聞けたのはうれしいことだ」
「ダニール・クビアトは非常に優れた技術を持つドライバーだ。彼はここ何か月かの間それを少しだけ失っていた。だが、幸運なことに彼は戻ってきたよ」
そう語ったトストは、次のように付け加えた。
「今シーズンの残りのレースでも、彼がいいレースをしてその才能と可能性示してくれることを期待しているよ。そうすれば、今後どうなるかもおのずと見えてくるだろうからね」