F1公式タイヤサプライヤーであるピレリが、タイヤの空気圧下限値の引き下げに動き始めたようだと伝えられている。
■不評の高空気圧限度値に変化が
現在、ピレリでは安全を確保するため、かなり高めの空気圧設定を義務付けており、これに違反した場合には重いペナルティーが科されることになっている。だが、空気圧を高めにすることでタイヤのグリップは低下することになり、ドライバーやチームからはまるで「木製」タイヤで走っているようだと不満の声も上がっている。
しかし、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』が最近報じたところによれば、シーズン後半に入ってからの3レースではフロントタイヤに関してはこれまで同様「非常に高い」空気圧値が定められているものの、リアタイヤに関しては少しずつ引き下げられ始めているという。
例えば、前戦F1シンガポールGPにおいては、フロントタイヤについては20PSI(ポンド毎平方インチ)が下限値として指定されていたものの、リアタイヤに関しては16.5PSIとそれより低い値が指定されていた。
ある匿名のエンジニアは、その値は「ほぼ通常の空気圧」だとコメントしている。
■これによるマシンバランスの変化も
だが、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によれば、フロントタイヤの空気圧が高い設定のままとなっていることで、タイヤの温度や摩耗率がフロントとリアで違ってくるという現象も起きているという。
その違いが生じるのは、フロントサスペンションのキャンバー設定の仕方によるものだろうとされている。それによってタイヤにさらに負荷がかかることになるためだ。
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』はさらに、ピレリは最近リアタイヤの構造を少し変えたのではないかとの疑いを持っているチームもあり、それが夏休み以降、チーム間の力関係に変化が生じた理由ではないかと考えている者もいると付け加えている。