4度F1王座についた元F1ドライバーのアラン・プロストが、今シーズン残りの6レースではディフェンディングチャンピオンのルイス・ハミルトンと初タイトル獲得を目指すニコ・ロズベルグのメルセデスAMGドライバー同士の戦いがさらに激しいものになるだろうと語った。
■再び流れに乗ってきたロズベルグ
パワーユニットが導入されるなど大きくルールが変わった2014年以降はメルセデスAMGが圧倒的な強さを発揮。そしてルイス・ハミルトンが最大のライバルであるロズベルグとのチーム内バトルを制して2年連続でF1チャンピオンの座についている。
今季も序盤こそロズベルグが4連勝して大きくリードしたものの、両者がクラッシュしてダブルリタイアに終わった第5戦スペインGPを機に形勢が逆転。夏休み前の7月に行われた4レースはすべてハミルトンが優勝を飾る活躍を見せてポイントランキングトップの座についていた。
だが、約1か月の夏休みが明けると、今度は再びロズベルグに流れが傾いてきた。第13戦ベルギーGPではハミルトンが規定外のパワーユニット投入によって最後列スタートとなったという要素はあったものの、続く第14戦イタリアGP、そして第15戦シンガポールGPでも勝利し、3連勝を飾ったロズベルグが再びランキングトップに返り咲いている。
特に、先週末にマリーナ・ベイ・ストリート・サーキットで行われたシンガポールGPではロズベルグが予選で大きな差をつけてポールポジションを獲得。レースでも終盤にレッドブルに追い上げられる場面はあったものの、結果的には危なげなくポール・トゥ・ウィンを飾っている。一方のハミルトンは予選、決勝ともに3番手と、夏休み前の勢いはやや影を潜めてしまった形となってしまった。
■強さを証明してみせたロズベルグ
プロストはそのシンガポールGPを振り返りながら、フランスの放送局『Canal Plus(カナル・プリュ)』に次のように語った。
「ニコは素晴らしい週末を送ったね」
「土曜日には彼がポールを取り、日曜日には彼がレースを完全に支配していた。ハミルトンに関してはそれほどよい週末ではなかった。競争力もなかったし、一貫性も欠いていた」
「シンガポールを迎えるまではハミルトンのほうにもっと競争力があったように見えた。だが、先週末にはニコが自分が非常に強い敵であることを証明してみせたんだ」
■タイトルのゆくえを決める要素は?
そう語ったプロストだが、残りの6レースではタイトル獲得に向けて両者の激しい戦いが続いていくだろうと考えている。
「メルセデスAMGに関しては1人のドライバーが非常に調子がよく、もう1人が少し弱さを見せることがあるのを目にしてきた。彼ら同士がホイール・トゥ・ホイールの戦いを見せることはこれまであまりなかったが、だが私はシーズンが終わる前にはそれが見られるんじゃないかと思っているよ」
そう語った61歳のプロストは次のように結んでいる。
「私としては、タイトルのゆくえが決まる要素は細かなことだと思っている。心理的なものや効率のよいスタートが切れるかどうか、それにほかのクルマが彼らの戦いの邪魔をする可能性もあるだろうね」