F1最高責任者バーニー・エクレストンと、F1新オーナーによって新会長に指名されることになっているチェイス・キャリーによる権力闘争の様相が色濃くなってきているようだ。
■今後はまだ不透明だとエクレストン
これまでのF1筆頭株主であったCVCからF1株式を買収することが明らかとなったアメリカのリバティ・メディアは、21世紀フォックスの副会長を務めるキャリーをF1の会長職に指名。エクレストンとキャリーは、今季のF1第15戦が開催されたシンガポールに姿を見せていたが、この2人の間には明らかに緊迫感が漂っていたと報じられている。
エクレストンは今後も3年間現職にとどまる契約を新オーナーと交わしたと伝えられている。だが、そのことについてイギリスのテレビ局『Sky(スカイ)』から質問を受けたエクレストンは、「様子を見よう。そのうち分かるよ」と答えるにとどまっている。
■けん制し合うエクレストンとキャリー
新会長となるキャリーは、自分は「F1初心者」だと語ったとも伝えられているが、当面の間はエクレストンの元でF1運営を学び、その後完全にF1の最高責任者としての業務を開始するのではないかとも考えられている。
だが、キャリーはF1公式サイトのインタビューに対し、「私は見習いをやるには少し年をとり過ぎているよ」と語っている。
そして、85歳となるエクレストンからすれば、リバティ・メディアによるF1運営への干渉が不満であることは明らかだ。今後はキャリーとともに働かなければならなくなるだろうと言われたエクレストンは、次のように主張した。
「唯一私がやるべきことは死ぬほど頑張って自分の税金を払うことだ。それでは不足だと言うなら、私は何もやる必要はないよ」
■F1をさらに発展させられるとキャリー
一方、キャリーは、エクレストン時代は終わりを迎えるとほのめかすようなコメントを行っている。
「確かに、それ(F1運営)は委員会の仕事ではない。委員会はお役所仕事的になりやすいしね。だが、独裁的なやり方をとるわけにもいかない。恐らく、ここ(F1)ではそういうやり方に慣れているかもしれないがね」
そう語ったキャリーは、さらに次のように続けた。
「ハリウッドがユニークな人物と付き合うためのいいトレーニングなのは確かだよ」
「バーニーは素晴らしい成功を遂げたし、それは彼の手柄だ。誰もがバーニーが築き上げたビジネスを称賛している。だが、それでも、我々はF1をもっと高いレベルへ押し上げることができると考えている」
■ヴォルフとラウダはエクレストン後任説を否定
少し前には、メルセデスのモータースポーツ責任者であるトト・ヴォルフや、メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダの名前がエクレストンの後任候補としてあげられていたこともある。
だが、ヴォルフは自分もラウダもそういう立場になることはないと母国オーストリアの『Osterreich(エステルライヒ)』に次のように語った。
「私はそうするつもりはないよ。我々はここで一緒に働いているし、これからもここで一緒にやりたいと思っているからね」