2017年からはこれまでよりも幅の広いF1タイヤが導入されることになっており、8月からそれに備えるためにF1公式タイヤサプライヤーであるピレリによって準備された試作品タイヤでのテストが開始されている。
■トップ3チームがテスト参加、マクラーレンは回避
このテストを担当するのはトップ3チームと言われるメルセデスAMG、レッドブル、フェラーリだ。各チームは幅広タイヤ装着用に改造が施された2015年型車でそれぞれ8日ずつのテストを行うことになっている。
当初、ピレリではマクラーレンにもテスト参加を要請していたが、マクラーレン側がこれを断っていた。マクラーレン・ホンダのレーシングディレクターを務めるエリック・ブーリエは、この判断に関して次のように述べている。
「我々は気が散らないようにするほうがよかったと信じているよ」
■トップ3チームは非常に有利に
だが、フォース・インディアの技術トップであるアンドリュー・グリーンは、ほかのチームに先駆けて2017年用タイヤでの走行を経験することができるトップ3チームは、来季には非常に有利な立場になるだろうと見ている。
「ピレリのためにテスト用のクルマを造った3チームは大きなアドバンテージを得ることになる」
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にそう語ったグリーンは、次のように付け加えた。
「そのほかのチームはそのタイヤを初めて試すことができるのは来年初旬になってしまう。だがメルセデスAMG、フェラーリ、そしてレッドブルはこれからそれを経験しようとしているんだからね」
■資金さえあればテストに参加したかったとフォース・インディア
だが、ピレリではトップ3チームによるテストで得られたデータはすべてほかのチームにも提供されることを約束している。
だが、グリーンはそれでも差はあると考えている。
「我々もいくらかのデータを得ることにはなるだろう。だが、チームは自分たち独自のデータを生成することもできるし、それはタイヤとは関係のないものだ。例えば、空力に関するものがそうだ」
そう語ったグリーンは、仮に自分たちにテスト用車両を製造するための予算があればテストに参加することを選択していただろうと次のように付け加えた。
「もし我々に200万ドル(約2億円)あれば、我々だってそうしていただろう。我々も検討はしたが、時間的な問題からも、自分たちのレースプログラムと並行してそれを行うことは純粋に不可能だったんだ」
■マクラーレン・ホンダの判断は正しかったのか?
フォース・インディアのように常に厳しい財政状況のもとで戦っているチームには高額な費用負担や人的資源の拠出を求められる2017年タイヤテストへの参加が困難であったことは想像に難くない。だが、まだ今季に集中することが最優先だとはいえ、マクラーレン・ホンダであればテスト参加も不可能ではなかったはずだ。
来季から大きくシャシー関連レギュレーションが変わるだけに、タイヤテスト不参加を選択したマクラーレン・ホンダがまた後手に回るようなことがなければよいのだが。