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メルセデス、ルノー、マノーの新コラボ体制の軸として期待される新人オコン

2016年08月10日(水)20:58 pm

19歳のフランス人ドライバーであるエステバン・オコンがマノーと契約を結び、2016年F1シーズン後半戦に出走することになった。

すでによく知られている通り、オコンはメルセデスの育成ドライバーながら、今季前半はルノーの控えドライバーを務めていた。オコンは2014年にヨーロッパF3チャンピオン、2015年にはGP3のタイトルを獲得した期待の新人だ。

■ルノーとメルセデスのコメントも入った異例のリリース

10日(水)にオコンのチーム加入に関するマノーの公式リリースが発表されたが、そこにはマノーのレーシングディレクターを務めるデイブ・ライアンとともに、ルノーのマネジングディレクターであるシリル・アビテブール、メルセデスのモータースポーツ責任者であるトト・ヴォルフのコメントが掲載されるという非常にめずらしい形となっている。

■実質的にマノーがメルセデスAMGのジュニアチーム的位置付けに

マノーは今季から昨年までのフェラーリに替えてメルセデスパワーユニットを搭載している。つまり、マノーとメルセデスAMGは非常に密接な関係を持っており、すでにメルセデス所属ドライバーであり昨年史上最年少でDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)チャンピオンとなったパスカル・ウェーレインをドライバーとして送り込んでいる。

オコンがシーズン後半からマノーでドライブすることになったわけだが、チーム同士の資本関係はないものの、実質的にマノーがメルセデスAMGのジュニアチーム的な役割を担うことになったと言えるだろう。

■レッドブルやフェラーリへの対抗策を模索するメルセデスAMG

レッドブルがトロロッソというジュニアチームを通じてセバスチャン・ベッテル(現フェラーリ)やダニエル・リカルド(レッドブル)、そしてマックス・フェルスタッペン(レッドブル)といった新人育成を成功させてきた事例があるとともに、今季からF1参戦を開始したハースはフェラーリとの強力な技術協力契約を結んでおり、実質的にはフェラーリのBチーム的存在だとも言われている。

そうした中、メルセデスAMGとしては今後に向けてマノーの協力を得て新たなドライバー育成戦略モデルの実現を目指しているのかもしれない。

■市販車のコラボも協力の背景に

一方、ルノーとメルセデスは市販車部門において強力なコラボレーションを展開しているのも周知の事実だ。2015年にはルノー・日産アライアンスとメルセデスを傘下に置くダイムラーがそれまでの戦略的協力関係をさらに強化し、さまざまな方面でルノーとメルセデスが市販車の製造協力事業展開を開始している。

また、オコンは2015年に現在ルノーのチーム代表を務めるフレデリク・ヴァスールが運営するARTグランプリから参戦していた経緯がある。そのヴァスールの肝いりでもあるオコンは、2017年にはルノーから正ドライバーとして迎えられるのではないかとのうわさもある。

■今後のF1チーム間協力のモデルケースに?

ともあれ、オコンを軸として、これまでにはなかったライバルF1チーム同士による新たなコラボレーションが動き始めるのは確かなようだ。そして、マノー、ルノー、メルセデスが期待するオコンが今後どういった活躍を見せるのかに大きな注目が集まるのは間違いない。

今回マノーが出したリリースの中で、これら3チームのキーパーソンはそれぞれ次のようにコメントしている。

■デイブ・ライアン(マノー/レーシングディレクター)
「エステバンを今シーズン後半にマノー・レーシングに迎えることを非常にうれしく思う。彼は間違いなくF1期待の新星の1人だ。ルノーの控えドライバーとして輝きを見せ、同時にメルセデスAMGからDTMにも参戦している」

「我々のチームは、先月のオーストリアで初めてポイント圏内フィニッシュを達成したことを含め、2016年には確実な進歩を遂げている。我々は目標を達成するために、今シーズンだけでなく、長期的に開発ペースを維持していく必要がある。それゆえ、交代したドライバーの質がそのカギとなる。エステバンがスパ(ベルギーGP)でF1デビューを飾れば、我々はシーズン後半に向けて直接的なライバルチームと戦うための非常に有望なラインアップが形成できると確信している」

■シリル・アビテブール(ルノー・スポールF1/マネジングディレクター)
「エステバンが今シーズンの残り9レースをマノー・レーシングで戦うということは、ルノー・スポールF1とメルセデスという2つのチームの素晴らしい関係が何年にもわたって維持されてきたことを示すものだ」

「若いながらも安定し、非常にプロフェッショナルなチームで走行経験を積むことができるのはエステバンにとってはまたとないチャンスだ。エステバンは非常に評価が高く、速いチームメートと組むことになる。それによって我々もそうした環境のもとで彼を評価することができるだろう。この経験が彼にとって、そしてルノーの近い将来にとって大きなチャンスとなることを期待している」

■トト・ヴォルフ(メルセデス/モータースポーツ責任者)
「こういうチャンスがエステバンに与えられたことを非常に喜んでいる。マノーが再び信頼に応えて有望な若手にチャンスを与えてくれることになったし、メルセデス-ベンツとルノーの間にいい協力関係があったことでこれが実現できたものだ」

「我々は今年、適正な環境のもとではマノー・レーシングのクルマにポイントを獲得するだけの力があることを見てきた。マノーは若いドライバーが初めてF1を経験するにはうってつけの環境だ。プロフェッショナルな小さなチームであり、上昇機運に乗っているチームだし、ドライバーの腕によって大きな違いを生むことができるからね」

「エステバンはシルバーストンで行われたテストにおいてメルセデスのワークスチームで類まれな仕事をこなしてみせた。彼がF1レースという環境に最初の一歩を踏み入れることをうれしく思っている」

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