イタリアのメディアがF1ドイツGP(第12戦)でニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)にペナルティーを科したFIA(国際自動車連盟)の対応を批判している。
■スタート失敗とペナルティーで4位に終わったロズベルグ
先週末に行われた夏休み前最後のレースとなるドイツGP決勝では、2番グリッドからスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)がスタートで順位を上げ、そのまま危なげなく首位を守って今季6勝目を達成した。
一方、第11戦ハンガリーGPでハミルトンにポイントランキングを逆転されていたチームメートのロズベルグは、スタートに失敗し4番手に順位を下げてしまう。ロズベルグは中盤に2番手を走行していたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に追い抜きをしかけて成功するも、その際にフェルスタッペンをコース外へ押し出したとして5秒加算ペナルティーを受けてしまった。
ロズベルグはこのペナルティーがひびいて、結局はレッドブル勢に先行を許し、4位でフィニッシュ。優勝したハミルトンとの差は19ポイントに開いてシリーズ前半を終えることになった。
■今季初めてではなかったロズベルグのペナルティー
レース後に、ロズベルグがペナルティー受けることとなった追い抜きのことを質問されたフェルスタッペンは、ほほ笑みを浮かべながら「ルイス(ハミルトン)は分かっているよ」と答えた。
フェルスタッペンが暗に言及したのは第9戦オーストリアGPのことだ。そのレースの終盤にはハミルトンに追い抜かれそうになったロズベルグがやはりハミルトンをコース外に押し出そうとするようなライン取りを行っていた。このときの接触により逆にダメージを負ったロズベルグは、ハミルトンに先行を許したばかりか、フェルスタッペンとキミ・ライコネン(フェラーリ)にも追い抜かれて4位に沈むこととなっていた。
ロズベルグはこのときもレース後に10秒加算ペナルティーを受けている。
■今回のペナルティーはやむを得ないとラウダ
ロズベルグのボスであるメルセデスAMG非常勤会長のニキ・ラウダも、今回のロズベルグの行為はペナルティーを科されても仕方のないものだったと次のように語った。
「私は、どちらの判断になってもおかしくなかったと思っているよ。彼(ロズベルグ)はあまりにもワイドに走り過ぎていたからね」
■FIAの判定に不満を示すイタリアのメディア
だが、今回イタリアのメディアがこぞってロズベルグに対してペナルティーを科したFIA(F1統括団体である国際自動車連盟)の対応は行き過ぎだったという論調を展開している。
『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』は、「ロズベルグのペナルティーはナンセンスだった」と書き、次のように付け加えている。
「ニコがマックスに対して汚い手を使ったのは事実だ。だが、これはレースなのだ」
『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』も次のように主張。
「いずれにしても追い抜きがあまりにも少な過ぎるわけだから、これを罰するべきではない」
さらに、『Autosprint(オートスプリント)』に至っては次のような皮肉を込めた極論とも言える論評を行っている。
「チャーリー・ホワイティング(FIAのF1競技委員長)に提案したい。今後はクルマを1台ずつ走らせてスキーの滑降競技のようにタイムで競わせるようにすればいいのだ」
■背景にはフェラーリの後退へのいら立ち?
イタリアのメディアがここまでロズベルグに対するペナルティーを批判するのも不思議な気もするが、その裏には最近フェラーリから2番目のチームの地位をうばってしまったレッドブルがそのロズベルグへのペナルティーでさらに多くのポイントにありつけたことに対する不満があるのは事実だろう。
ドイツGP開催前までコンストラクターランキング2番手につけていたフェラーリだが、このレースでレッドブルに逆転を許して3番手に後退してしまったからだ。