F1が、2017年からコックピット保護システムである「ハロー」を導入するかどうかの山場を迎えている。
28日(木)にスイスのジュネーブでF1の意思決定機関であるストラテジー・グループの会合が開催され、チームやF1最高責任者のバーニー・エクレストン、統括団体であるFIA(国際自動車連盟)によって2017年からハローを正式に導入するかどうかの最終投票が行われることになるようだ。
■賛否両論ある「ハロー」導入
チタニウムで作られたコックピット用ロールバーのようなシステムであるハローをF1カーに装着することに対し、F1ドライバーやF1関係者の中にも賛否両論があることはよく知られている。
レッドブルのドライバー育成責任者として知られるヘルムート・マルコは反対派のひとりであり、F1の魅力を高めていこうという戦略が練られている中でこういうシステムを導入するのは「愚かなこと」だと言い放っている。
■F1ボスは大反対
そして、エクレストンもハロー導入には反対票を投ずるつもりだとイギリスの『Telegraph(テレグラフ)』に次のように語った。
「我々にはあれは必要ないよ。あれをつけたからといっていいことは何もないからね。あれによって無事で済むはずのところが逆にダメージを負う可能性だってあるんだ」
「ほとんどのドライバーたちはあれを歓迎していないよ。最終的には我々とチームによって決めることになるだろうね」
■導入はいいことだとベッテル
このエクレストンの考えは、統括団体であるFIAの意向とはまったく逆のものだ。ハロー導入を推進するFIAでは、前戦ハンガリーGPが開催された先週のハンガロリンクでドライバーたちに対し、ハローを装着することによるメリットに関して詳細なプレゼンテーションを行っていた。
これを受け、フェラーリのセバスチャン・ベッテルは、「あのプレゼンテーションは非常に明確だったよ。どんなクラッシュにおいても結果は前向きなものだった」と語り、ハロー導入を歓迎するコメントを行っている。
■好ましくはないが決めかねているとメルセデスAMGのボス
だが、今週行われる投票結果がどうなるか、まだ予測がつかないというのが現実のようだ。
メルセデスAMGを率いるトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)は、『Stuttgarter Nachrichten(シュトゥットガルター・ナッハリヒテン)』紙に次のように語った。
「私は、あれは好きではないよ。だが、まだどうするか(賛成票、反対票いずれを投じるか)決めていないんだ」
■最終的にはFIAによる強制導入も
だが、仮に28日の会議でチームたちが反対票を投じたとしても、統括団体であるFIAは安全に関する特別権限によって、投票結果にかかわらず強制的に導入を決定することもできると考えられている。
マクラーレン・ホンダのジェンソン・バトンも、チームがこの件を決定するのは正しいことではないと考えている。
「これは安全に関する問題だからね」と語ったバトンは、「もしFIAがこれは安全上必要だと判断するのであれば、僕たちはそれをクルマにつけなくてはならないよ」と付け加えた。
■いやなら乗るなとエクレストン
しかし、エクレストンはドライバーたちのそうした意見にも次のように反論している。
「彼らは小さな問題を抱えているよ。彼らは自分のチームや自分のクルマを所有してはいないということだ。もし彼らが(ハロー無しで)運転したくないと言うのなら、運転しなければいいだけの話だ」