メルセデスAMGを率いるトト・ヴォルフ(ビジネス部門エグゼクティブディレクター)が、F1オーストリアGP決勝の最終ラップで起きた事故がニコ・ロズベルグとの契約延長交渉に影響を与えることはないと語った。
●【結果】F1オーストリアGP決勝の順位、タイム差、周回数、ピット回数
■今季2度目の同士打ち発生
レッドブルリンクで3日(日)に行われたオーストリアGP決勝では、ファイナルラップで先頭を走っていたロズベルグとそれを追い抜こうとしたルイス・ハミルトンが接触。メルセデスAMGにとっては1-2フィニッシュがほぼ確実な状況から、最悪の場合はまた2台ともにリタイアとなる最悪のシナリオも考えられた重大事故が発生してしまった。
幸い、ハミルトンはそのまま走り続けて逆転優勝を飾り、ロズベルグはダメージを負ったものの最終的に4位でフィニッシュできたことでチームとしての打撃は6ポイントを失うにとどまった。
事故後このクラッシュが審議対象となり、ロズベルグに10秒タイム加算ペナルティーが科されたものの、5位となったリカルドとのタイム差が10秒以上開いていたため、ロズベルグの順位が変動することはなかった。
■ドライバーラインアップ変更は必至だとライバルチーム首脳
だが、第5戦スペインGPですでに同士打ちによる2台リタイアを経験していたメルセデスAMGとしては、その後も2人のドライバーを自由に戦わせるという基本ポリシーは変えないものの、両者がクラッシュすることだけは避けなくてはならないと強く確認していた。
そういう中で今回同士打ちが再発したことで、メルセデスAMGとしても今後はチームオーダーを発令するという手段を講じるしかないと考えても不思議ではないだろう。
これを機にロズベルグとハミルトンの関係がさらに悪化するのは確実であり、これがチームにとってよい影響を与えることではないのも確かだ。ライバルチームであるレッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーでさえ、メルセデスAMGが今後ドライバーラインアップの見直しをすることは避けられないだろうと発言している。
■チームオーダー導入を示唆するヴォルフ
ヴォルフも、またもチームメート同士でのクラッシュが起きたことは、メルセデスAMGのF1カー製造に携わる1000人以上のスタッフたちに対して「失礼」なことだとテレビ局『Sky(スカイ)』に語り、次のように続けた。
「これを終わらせる必要がある。どうやらこれ以上話をして解決できる問題ではなさそうだ」
「もし彼らがクルマでどのようなレースをするべきなのかということを理解できないのであれば、我々も彼らのために何をすべきか考えなくてはならなくなるだろう」
「まだ何も決定はされていないが、あらゆる可能性を検討しているよ」
■契約交渉への影響は否定
そう語ったヴォルフだが、まだ来季以降の契約をかわしていないロズベルグに関してはオーストリアでのクラッシュが今後の契約交渉に影響を及ぼすことはないと主張し、次のように続けた。
「我々全員が少し頭を冷やす必要があるし、シルバーストン(イギリスGP/10日決勝)へ向かう前にこの問題を解決しなくてはならない。だが、今日(3日)起きたことがニコとの長期計画に影響を及ぼすことはないよ」
ヴォルフはさらに、フィンランドのテレビ局『MTV』に対しても、「このことが交渉にはまったく影響しないと断言できるよ」と語り、次のように付け加えている。
「ニコとチームは長期的な解決策を模索しているところなんだ。どんなにいい関係であっても、困難な状況を迎える瞬間もあるものだ。そして、今回もそのひとつにしか過ぎないよ」