F1オーストリアGP決勝レースの最終ラップ、2コーナーでのメルセデスAMGの同士打ちにより、ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)にペナルティが科せられた。
■状況のおさらい
最終ラップの1コーナー、トップを走行中だったロズベルグはブレーキングミスをした。すぐ後ろを走行していたルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)は、1コーナーを素晴らしい走りで抜けて、次の2コーナーのブレーキングでアウト側から並び、頭一つ抜け出た。ハミルトンはコーナーのかなり奥で、アウト側から被せるようにオーバーテイクを試みたが、イン側のロズベルグも譲らず、結果的に両者は接触してしまった。
■スチュワードの見解と判断
「ロズベルグはハミルトンに“レースをするためのスペース”を与えなかった。従って、ロズベルグが衝突の原因となった」
この見解により、ロズベルグにはレースタイムに10秒を追加するペナルティが科せられ、さらに2ペナルティポイントも科せられた。ロズベルグのペナルティポイントは、12ヶ月内で累計2ポイントとなった。
■ロズベルグの見解「守って当然。スペースは与えていた」
優勝を逃して4位に落ちてしまったロズベルグの見解はこうだ。
「コーナーの奥まで入りすぎたけど、僕はイン側だったし問題なかったんだ。ルイスがターンインしてきて接触したのには驚いたよ」
「僕のブレーキは最後に少し熱を持ってしまって、苦労していたんだ。タイヤもタレていたしね」
「優勝を確信していたのに、ガッカリだ。最終ラップで失うなんてキツいよね」
そして、スチュワードの審議により、ペナルティが科せられたロズベルグは次のように語った。
「最悪な結果だね。優勝を逃して4位に落ちたんだ。さらに順位は変わらなかったけど10秒ペナルティを科せられた。判断は尊重するけど、僕の見解は違うよ。僕たちが絡むことは、チームにとっても最悪だ」
「僕はイン側にいたんだし、守って当然だ。理想的なレーシングラインを走る必要はない。ルイスには抜かれたくなかったけど、スペースは与えていた。【最初からそうするつもり】だった。カメラにも映っているけど、スペースはあった」
■ハミルトンの見解「スペースを残していた」
一方、ハミルトンは次のように語った。
「僕はターン2の【イン側に十分なスペースを残していた】んだ。たぶん、彼(ロズベルグ)はタイヤがロックして僕にぶつかってきたんだと思うよ。たぶん、ブレーキに問題を抱えていたんじゃないかな」
■映像と画像で検証
あらためて公開された映像で確認すると、たしかに、ハミルトンはイン側に十分すぎるほどのスペースを空けていた。
逆にロズベルグはかなりコーナーの奥まで直進しており、まったくステアリングを切ろうとせず、タイヤスモークを上げてもいない。
さらに、「僕はイン側にいたんだし、守って当然だ。理想的なレーシングラインを走る必要はない。ルイスには抜かれたくなかったけど、スペースは与えていた。【最初からそうするつもり】だった」と、本人が述べている。
そしてハミルトンが言うように、たしかにイン側には十分なスペースが空いている。
このことから、何としてもチャンピオン争いをリードしたい、守りの姿勢のロズベルグは、初めからハミルトンをアウト側に押し出すつもりだったと見られても仕方ない。スチュワードには、やや強引に守りすぎた、と判断されたのだろう。
■すでにこの時点でアウト側からハミルトンが1台分抜け出している
■ここでハミルトンがようやくステアリングを切り込み始めた。ハミルトンが言うように、「イン側には十分なスペースを」空けているのがわかる。
■【拡大】赤い丸のロズベルグはまだ切り込んでいないのがわかる。黄色い丸のハミルトンはターンインし始めた
■ロズベルグがようやくステアリングを切った。路面に残っているレコードラインを見れば、かなり奥まで直進したのがわかる
■【拡大】赤い丸部分、ロズベルグのグリーンの左手グローブが見えた
■接触直後の様子。ロズベルグからしたら、たしかにアウト側に1台分空けているとも言えるが、イン側はそれ以上に空いている・・・。
■【拡大】黄色い丸部分、ハミルトンはハンドルを戻した。曲がれないと判断し真っ直ぐ逃げる。
【関連】
●参照1:【動画】メルセデス、最終ラップ同士打ち
●参照2:【レースハイライト映像】見どころ満載のF1オーストリアGP決勝レース(参照1とは別角度の両者の争いは4:05付近から見られます)
●両者の見解:メルセデスAMG「またも1-2フィニッシュが水泡に帰す」/F1オーストリアGP決勝
●スチュワードの判断:最終ラップに衝突したニコ・ロズベルグにペナルティ
●【ペナルティ後の結果】F1オーストリアGP決勝の順位、タイム差、周回数