電気自動車(EV)ベンチャー企業のrimOnO(リモノ)が20日、2人乗りの可愛い超小型EVの試作車を公開した。
■「小さくてカワイイ、誰でも乗れる乗り物を作りたい」
リモノは若者から年配まで、簡単に乗れるカワイイ乗り物づくりを目指している。外装にはなんと『テント用の布』を使用。耐光性や防水性、防炎性など持たせつつ、「ボディを着せ替えできる」のが特長だ。
■シングルベッド大のコンパクト設計、バッテリーは交換式
今回発表された試作車は、幅1m、全長2.2m、高さ1.3m。縦・横はシングルベッドよりやや大きい程度で、一般的な駐車場に4台のリモノが駐車できる。運転席には大人1人、後部座席には大人1人か子ども2人が乗車できるコンパクトな設計。ハンドルはバイクのようなT字型で、アクセルもブレーキも手元で行う。バッテリーは、1回の充電で50km走行可能な交換式カセット型バッテリーを搭載、交換することで遠距離走行も可能だ。
■国へ制度の早期導入を促す
原付免許で14歳以上が運転できる欧州L6e規格を意識して最高速度は時速45km/hまでに抑えることで、「日本版L6e制度」の早期導入を要望しているという。
■初代価格100万円目標、最終的には40万円を目指す
今後は、観光地、過疎地での利用を期待しているが、現在は公道走行の制度が整っていないため、2017年夏頃に初代モデル市販化を目指し、暫定モデルとして1人乗りのミニカー規格を投入する計画だ。価格は100万円を想定し、50台を販売したい考えだ。制度が整うことが前提としながらも、2人乗り市販モデルの最終目標価格は40万円前後、月間1000台を目指す。
■欧州L6e規格とは
欧州L6e規格は、フランス、イタリア、スペインなどで導入済で、「車両重量350kg以下、設計最高速度45km/h以下、最大連続定格出力4kW以下、定員2名」という『マイクロEV』の規格で、14歳以上であれば原付免許で運転可能だという。
欧州L6e規格に対して、国土交通省の「超小型モビリティ」の主な制度は、最大連続定格出力は8kW以下、普通免許が必要で、速度制限は60km/hとなっている。
■ベンチャー企業リモノとは
リモノは、元・経済産業省の伊藤慎介社長とトヨタ自動車出身の根津孝太取締役(COO・CTO)が2014年9月に設立したベンチャー起業だ。社名の由来は、「のりもの」から“No”をなくして『リモノ』だという。
■リモノはテスラと真逆狙いの「スロー」な乗り物
これまで世界のEVベンチャー起業を見ると、テスラに代表されるように「速い・カッコいい」というインパクトから入ってきたが、リモノは「エコ、高齢化、コンパクトシティ化のためには“小型でスローな乗り物”」をという真逆の戦略だ。
■多種多様な企業とのコラボを想定
ビジネスモデルとしては、リモノは設計・デザインを担当し、製造・販売・保守などは外注するという。それにより、様々な企業とコラボすることも考えており、例えば地域ごとで最終組立を行う『地産地消』型や、新素材、新部品、新デバイスを共同で開発したり、表皮デザインをアパレルブランドとコラボすることも考えている。
また、ナビ・駐車場案内などサービス開発でのコラボや、カーシェア、営業車・配達車としての利用も見込んでいる。
■主要スペック
全幅(W)x全長(H): 1.0mx2.2m(シングルベッドよりやや大きいサイズ)
人数: 大人2人乗り(または前席大人1名+後席子ども2名)
ボディ: 着せ替え可能な『布製ボディ』
バッテリー: 交換式カセット型バッテリー『e-cell』
車重: 目標200kg以下(現在320kg)
最高速: 45km/h(検討中)
航続距離: 目標50km/h(交換式バッテリーで長距離も可能に)
◇ニュース検索ワード - 自動車情報 |