ホンダが、F1パワーユニットに関する人材募集をしている。
■F1パワーユニット、4つの職種
募集している職種は以下の4つ。
1)F1パワーユニット(エンジン設計・研究開発)
2)F1パワーユニット(エンジン材料開発)
3)F1パワーユニット(過給器設計・研究開発)
4)F1パワーユニット(電装システム設計・研究開発)
勤務地はいずれも「本田技術研究所HRD-Sakura(栃木県)」となっており、その募集要項には次のように書かれている。
【募集の背景】
Hondaは創業以来、レースに参戦し、勝つことで成長してきた企業。
そして、2015年より世界最高峰の四輪レース、F1への参戦を決めました。
世界一の技術競争の中で、技術の限界へ挑み、世界一を目指します。
人々とともに夢を求め、夢を実現する中で自らの技術を試し、世界を舞台にチャレンジのできる新たな仲間の募集です。
これまでは世界中のメディアからの質問に対して、「勝つ」ことよりも、「人を育てる」ということを強調してきたホンダだが、「世界一を目指します」と書かれたこの募集の背景からは、「レースに勝つ」ことを最大の目標としているようにも見える。
■ルール変更に対応した募集か?
この募集タイミングから推測するに、2017年からパワーユニットのルール変更が大きく影響している可能性は大きい。(参考:●パワーユニットのルール変更が正式決定、トークン制度は廃止)
ルール変更の一つは、他チームへの供給義務ルールだ。(参考:●【マクラーレン・ホンダ】新ルールの他チーム供給義務に反発するロン・デニス)
ルール変更のもう一つは、トークン制度の廃止だ。
■新ルールで世界一を目指すホンダ
新ルールには「供給チームの少ないメーカーに義務が発生」するという項目があり、近い将来レッドブル・ホンダやトロロッソ・ホンダが誕生する可能性もある。
ホンダとしては最強パワーユニットを作って強力な複数チームへ供給することで、チャンピオン獲得へ一歩でも近づきたい。そのために、より専門知識を持った即戦力の人材が必要だ。
F1は世界最高の人材が集まる勝負の世界だ。「人を育てる」事にこだわり続けてきたホンダに対して、先行する強力なライバル勢は勝利を最優先にする考え方だ。ライバルは専門性に長けた人材を引き抜き、ノウハウを蓄積する「時間を買う」ため、ホンダが短期で勝つことは簡単ではないと言われ続けていた。
来季からは開発制限「トークン」制度が廃止になるため、ホンダとしても一気にばん回する絶好の機会だ。
■ホンダはF1の哲学を取り入れたか
マクラーレン・ホンダのレーシングディレクター、エリック・ブーリエは、ルール変更に関して次のように語っていた。(参考:●【マクラーレン・ホンダ】2017年のルール変更には満足。課題はホンダの開発スピードアップ)
「ホンダが開発のスピードを上げられるかどうかが重要だ。そして、F1ではまず行動や決断が必要で、そこから分析と計画が始まるのだということを(ホンダが)理解できるかどうかだ」
これは欧米と日本の仕事のやり方の違いと言えるかもしれない。世界中の優秀な人材がしのぎを削るF1では、とにかく開発スピードが求められる。
■5月28日(土)、F1パワーユニット領域の説明会を実施
ホンダは、今回募集している4つの領域についてのキャリアフォーラムを開催する。場所は、埼玉県和光市だ。当日は、現場社員によるプレゼンテーションや、個別面談もあるという。
エントリー締切は5月16日(月)。
■6月11日(土)・12日(日)、F1パワーユニットエンジニア一次面接会
また、「F1パワーユニットエンジニア一次面接会」を埼玉県和光市・愛知県名古屋市で行うようだ。
こちらのエントリー締切は5月23日(月)となっている。
F1で世界一へ挑戦したい人にとっては絶好の機会となるだろう。
TopNews編集部としても将来、この記事を見て「F1の世界へ挑戦し、世界一へ貢献できた」という人とお会いできることを楽しみにしています。