NEXT...F1開催スケジュール

ドライバー頭部保護装置、導入が2018年にずれこむ可能性も

2016年05月04日(水)19:56 pm

ドイツの権威あるモータースポーツ専門誌『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』が、F1カーへのドライバー頭部保護装置装着義務化は2018年まで延期されることになるかもしれないと報じている。

【動画】レッドブルの『エアロスクリーン』はミサイルも防ぐ?事前テスト動画を公開

■7月1日までに採用装置決定を示唆したFIA

F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)のF1競技委員長を務めるチャーリー・ホワイティングは、F1ロシアGPが開催された先週末のソチで、来シーズンからの導入に向け、現在候補に上っている「ハロー」型か、ロシアGP金曜フリー走行でレッドブルがテストを行った「エアロスクリーン」のいずれを採用するか、その決定期限を7月1日に設定していると語り、次のように付け加えていた。

「それまでに明確な方向性を決めることができなければ不合理というものだ」

■F1委員会での決定は事実上困難

これまで、「ハロー」と「エアロスクリーン」という2つのコンセプトはかなり大々的にテストが行われてきており、F1意思決定機関であるF1委員会は、近いうちにそのうちどちらを正式に採用するかの決定を求められることになる。

だが、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、全員一致での採択が行われない限り、F1委員会が強制的に2017年からのルールを設定するにはすでに時が遅すぎると指摘している。

同誌のベテランF1記者であるミハエル・シュミットは、次のような説明を行っている。

「4月30日以降にF1委員会が決定したことは、早くても2018年までには導入することができない」

唯一可能性を残すのは“全員一致”による決定だ。だが、それが実現される可能性は極めて低いのが実情だ。

F1最高責任者であるバーニー・エクレストンがこうした保護装置を導入することには大反対なのは有名な話だ。さらに、「ハロー」型のテストを行ってきたメルセデスAMGやフェラーリは、ライバルであるレッドブルが提案している「エアロスクリーン」を導入すれば、それによってレッドブルが空力的なアドバンテージを得ることになるだろうと懸念していると言われている。

■FIAが強行導入の可能性も

FIAはこうしたハードルを、ホワイティングの言葉を借りれば“安全カード”とも言えるジョーカーを提示してクリアすることも可能だと見られている。その他のルールに関することとは違い、“安全”に関することは、統括団体であるFIAが必要だと判断すれば、一方的にルールを変えることが認められているためだ。

ホワイティングは、ソチで次のように語っていた。

「どのチームも反対するとは考えていない。なぜなら、これは安全に関するものだからね」

■まだ多くの疑問が残る保護装置問題

だが、現在提案されている装置にもまだ多くの疑問が残されているのも事実だ。レース速度で周回を重ねる時の視認性や、エアロスクリーンが汚れをどう防ぐかという課題もある。さらに、FIAの安全対策責任者であるアンディ・メローは、激しいクラッシュが発生した際に、頭部を保護すべきエアロスクリーンが逆にドライバーの頭にぶつかって大きな衝撃を与えるリスクについても懸念を抱いているようだと伝えられている。

報じられているところによれば、前回のストラテジー・グループ(主要F1チームなどによって組織された意思決定機関)の会合において、フェラーリのセルジオ・マルキオンネ会長がジャン・トッドFIA会長に対し、まだ大きな疑問がたくさん残されている状況であってもFIAが“安全カード”を用いて導入を決定する可能性があるのかと質問したところ、トッドは「ノー」だと答えたという。

■来季から導入されなければドライバーが納得しないとの声

だが、あるF1関係者が『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語ったという。

「チームは自主的にコックピット保護装置導入を受け入れてきている。それに、もし2018年まで待たなくてはならないということになれば、ドライバーたちがだまってはいないだろう」

前後の記事
最新ニュースをもっと見る  >
TopNewsの最新ニュースが読めるよ!
facebookフォロー Twitterフォロー RSSでチェック