F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)では、2017年からF1カーのコックピットに新たなドライバー頭部保護装置を導入することを目指している。
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■F1カーにコックピット保護装置は不要だとエクレストン
だが、その装置はドライバーの生命を守るためとはいえ、これまでのフォーミュラカーのイメージをくつがえすような外観となることもあり、導入に反対する声も少なくない。
その筆頭の位置に立つのが誰あろうF1最高責任者のバーニー・エクレストンだ。
ソチで行われたF1ロシアGP(第4戦)のフリー走行1回目ではレッドブルが “エアロスクリーン”と呼ばれるキャノピー風の装置を装着してテスト走行を行った。
だが、これを見たエクレストンは「私は好きじゃないね」と語るとともに、F1カーにはどのようなコックピット保護装置を導入すべきだと思うかと質問されると、ためらうことなく「何もいらないよ」と答えた。
■スペインとモナコでもテスト実施
だが、こうしたコックピット保護装置導入に向けての動きが加速しているのは確かだ。伝えられるところによれば、バルセロナで行われる次戦第5戦スペインGP(15日決勝)と今月末に開催される第6戦モナコGP(29日決勝)においても再びテストが行われるという。
もし、なんらかのコックピット保護装置が導入されるということになれば、その有力な候補となるのはメルセデスAMGやフェラーリが開発した「ハロー型」と呼ばれるものか、レッドブルが開発したキャノピー型「エアロスクリーン」と呼ばれるもののいずれかになりそうだ。
■今のF1は十分に安全だとラウダ
だが、現役時代には3度F1タイトルを獲得した元F1ドライバーであり、現在はメルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダも、これらの導入には消極的な立場をとっている。
ラウダは、ロシアGP決勝が行われたソチで1日(日)に次のように語った。
「我々は、F1のDNAを変えないように注意する必要がある。今日のF1は安全だからね」
■来季からの導入決定最終期限は7月1日
いずれにせよ、このコックピット保護装置に関する議論も7月1日(金)には終わりを迎えることになりそうだ。FIAのF1競技委員長を務めるチャーリー・ホワイティングは、各チームが2017年型車の設計を進めるためには、そこを最終期限として定める必要があると語っている。