2016年のF1シーズン開幕2戦を制してポイントランキングのトップに位置しているニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)に脱税疑惑の目が向けられることになるかもしれない。
■「パナマ文書」にロズベルグの名前
タックスヘイブン(租税回避地)として知られるパナマの法律事務所モサック・フォンセカの1,150万点に及ぶ内部文書が調査されていたが、その内容がリークされて各国のメディアが一斉に報道を開始している。
そしてこの「パナマ文書」と呼ばれるこれらの文書には、世界各国の政治家、ビジネスマン、スポーツ選手などの名前がタックスヘイブン利用者として記されていると報じられているが、その中にロズベルグの名前も含まれていたという。
■複雑なロズベルグの契約実体
今回「パナマ文書」に名前が載っている者に関しては、タックスヘイブンを利用してダミー会社などを通じた「資金洗浄」を行い、不当に課税されることを回避していたのではないかとの疑いの目が向けられることになる。
ドイツの公共放送局である『NDR』が伝えたところによれば、ロズベルグの現在の契約は、実際にはメルセデスAMGとイギリス領ヴァージン諸島に本社を置くアンビシャス・グループという会社の間で取り交わされているという。
さらに、そのアンビシャス・グループは、今回のリーク文書によって嫌疑の対象となっている2つのダミー会社と関連があるという。それらのダミー会社はチャンネル諸島に本社が置かれているとのことだ。
■違法性はないとの報道も
だが、同じドイツのテレビ局『ARD』は、今回の関係書類はメルセデスAMGやロズベルグが違法行為に及んだことを示すものではないと伝えている。
メルセデスAMGはこの件に関してコメントを控えており、ロズベルグの弁護士はフランスの『L’Equipe(レキップ)』に対し、プライベートなことについては話せないと答えたと伝えられている。
■トゥルーリやモンテゼモーロの名前も
今回流出した「パナマ文書」には、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンの側近や、中国国家主席である習近平の親族、FCバルセロナで活躍する有名サッカー選手のリオネル・メッシ、人気映画俳優のジャッキー・チェンなどの名前も含まれていると報じられているが、ロズベルグ以外のF1関係者の名前もいくつかあるようだ。
その1人である元F1ドライバーのヤルノ・トゥルーリは、母国イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に対し、「僕は世界中に多くの会社を持っているけれど、すべて透明性を持って運営しているよ」と答えている。
さらに、フェラーリの前会長であり、現在はアリタリア航空の経営に携わっているルカ・ディ・モンテゼモーロもモサック・フォンセカとの関係があったと報じられている。そのモンテゼモーロはイタリアの『L'Espresso(レスプレッソ)』に次のように語っている。
「私はその法律事務所のことは知らないよ」