先週末に行われた今季のF1第2戦バーレーンGPはスタート直後に勝敗が決していたと言っても過言ではない。
ポールポジションからスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が出遅れる中、2番手からスタートしたチームメートのニコ・ロズベルグがトップに立ち、そのまま差を広げて2戦連続でトップチェッカーを受けた。
■ライコネンは優勝争いができていたはずだとフェラーリのボス
スタートで出遅れたのはハミルトンだけではなかった。セバスチャン・ベッテルがレース前のフォーメーションラップ中にトラブルが発生してスタートすることさえできなくなったことで、実質的に前から3番目の位置からスタートしたフェラーリのキミ・ライコネンもターン1に差し掛かるころには2台のウィリアムズと1台のレッドブルに先行を許していた。
フェラーリのチーム代表であるマウリツィオ・アリバベーネは、スタートのときにクラッチレバーにかけた指を滑らせるというミスさえしなければ、ライコネンはニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)との間で優勝争いさえできていたはずだと主張し、次のように付け加えた。
「このことを強調しておくが、恐らく、そのために勝利のチャンスが失われたんだ」
ライコネンも「最後には驚くほどニコに迫ることができていた」と語り、レース開始早々にウィリアムズとレッドブルに抜かれて順位を下げることがなければ、十分に優勝争いにもからめていたはずだと示唆している。
■2戦連続でポールスタートを生かせなかったハミルトン
だが、それと同じような仮定は、バーレーンで3位に終わったハミルトンにも当てはまるだろう。ポールポジションからスタートしたハミルトンがスタートで出遅れなければ、そして、後ろからきたウィリアムズのバルテリ・ボッタスとの接触で大きくコントロールを乱して順位をさらに落とすということさえなかったら、バーレーンでは違うストーリーが展開されていた可能性は高い。
メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは、ハミルトンは1周目に起きたボッタスとの接触事故によって1周当たり1秒のハンディキャップを背負っていたと主張している。
ヴォルフはバーレーンにおいて、親会社のダイムラーに対し、新しいクラッチシステムの設計を依頼したことを明らかにしていた。それにより、ドライバーたちがもっとスムーズにスタートすることを可能としたいと考えているためだ。
ハミルトンはレース後に、ボッタスとの接触事故後も「少なくとも走り続けることはできたし、トップ3に返り咲くだけのパフォーマンスはまだクルマに残されていたよ」と語り、やはりスタートの遅れさえなければ、十分に優勝を狙えたはずだとほのめかしていた。
■タイトル争いはロズベルグが一歩リード
ともあれ、2レースを終えた時点で、連勝を果たしたロズベルグはすでに50ポイントを獲得。初戦2位、第2戦で3位だったハミルトンにすでに17ポイントの差をつけている。
だが、ハミルトンは、1974年にモハメド・アリがジョージ・フォアマンを倒した有名なボクシングの試合を引き合いに出しながら次のように語った。
「キンシャサの奇跡(アリ対フォアマンの試合)では、モハメド・アリは相手のほうが試合に勝つはずだと信じさせていた。だけどそうはならなかった」
「つまり、何が起こるかなんて分からないよ」とハミルトンは付け加えた。