22日(火)にF1公式タイヤサプライヤーであるピレリがF1バーレーンGP(4月3日決勝)に向けて各ドライバーが選択したドライタイヤの内訳を発表した。これを見ると各ドライバー、各チームのタイヤ戦略の違いが見えてきそうだ。
【画像解説】F1オーストラリアGP決勝レース、各ドライバーのタイヤ戦略が明らかに
今年からドライタイヤの運用に関するルールが変更されている。昨年までは各グランプリに2種類のタイヤが供給されていたが、今年からそれが3種類に増やされている。
さらに、ドライバー1人あたり全部で13セットのタイヤがピレリから供給されることになるが、ピレリが指定した予選用1セット、決勝用2セット以外の10セットに関しては、各ドライバーがその3種類のタイヤのうちから自由に選択できるようになっている。
■F1バーレーンGPの供給タイヤ/指定タイヤ | ||||||
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供給タイヤのコンパウンド | M(白) | S(黄) | SS(赤) | |||
予選Q3用指定タイヤ | SS(赤)(1セット) | |||||
決勝用指定タイヤ | M(1セット) | S(1セット) |
M:ミディアム(ホワイト)
S:ソフト(イエロー)
SS:スーパーソフト(レッド)
■同チームでもタイヤ選択に違いが
新タイヤルールのもとで迎える2レース目ということになるが、バーレーンでもほとんどのチームが2人のドライバーが同じタイヤの種類を選択している。
だが、トロロッソ、ザウバー、ハースの3チームだけは、ドライバーによって選択内容が異なっている。
■内訳:ドライバー選択タイヤ(13セット) | ||
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ハミルトン(メルセデスAMG) | ||
M(1) ● |
S(6) ●●●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
ロズベルグ(メルセデスAMG) | ||
M(1) ● |
S(6) ●●●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
ベッテル(フェラーリ) | ||
M(3) ●●● |
S(4) ●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
ライコネン(フェラーリ) | ||
M(3) ●●● |
S(4) ●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
ボッタス(ウィリアムズ) | ||
M(3) ●●● |
S(3) ●●● |
SS(7) ●●●●●●● |
マッサ(ウィリアムズ) | ||
M(3) ●●● |
S(3) ●●● |
SS(7) ●●●●●●● |
リカルド(レッドブル) | ||
M(2) ●● |
S(5) ●●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
クビアト(レッドブル) | ||
M(2) ●● |
S(5) ●●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
マグヌッセン(ルノー) | ||
M(1) ● |
S(5) ●●●●● |
SS(7) ●●●●●●● |
パーマー(ルノー) | ||
M(1) ● |
S(5) ●●●●● |
SS(7) ●●●●●●● |
ヒュルケンベルグ(Fインディア) | ||
M(2) ●● |
S(5) ●●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
ペレス(Fインディア) | ||
M(2) ●● |
S(5) ●●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
フェルスタッペン(トロロッソ) | ||
M(1) ● |
S(7) ●●●●●●● |
SS(5) ●●●●● |
サインツ(トロロッソ) | ||
M(2) ●● |
S(6) ●●●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
アロンソ(マクラーレン・ホンダ) | ||
M(3) ●●● |
S(4) ●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
バトン(マクラーレン・ホンダ) | ||
M(3) ●●● |
S(4) ●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
エリクソン(ザウバー) | ||
M(3) ●●● |
S(5) ●●●●● |
SS(5) ●●●●● |
ナッセ(ザウバー) | ||
M(4) ●●●● |
S(4) ●●●● |
SS(5) ●●●●● |
ウェーレイン(マノー) | ||
M(4) ●●●● |
S(5) ●●●●● |
SS(4) ●●●● |
ハリアント(マノー) | ||
M(4) ●●●● |
S(5) ●●●●● |
SS(4) ●●●● |
グロージャン(ハース) | ||
M(2) ●● |
S(4) ●●●● |
SS(7) ●●●●●●● |
グティエレス(ハース) | ||
M(2) ●● |
S(4) ●●●● |
SS(7) ●●●●●●● |
■メルセデスAMGとフェラーリに戦略の違い
また、今回特に注目したいのは、メルセデスAMGとフェラーリがかなり違うタイヤセット数を選択していることだろう。
メルセデスAMGは一番硬めとなるミディアムは1セットしか選択しておらず、ソフトとスーパーソフトを6セットずつ選んでいる。
一方、フェラーリはスーパーソフトについては同じ6セットながら、ミディアムは3セット、ソフトは4セットとメルセデスAMGとは違う選択を行ってきている。
また、ウィリアムズ、ルノー、ハースの3チームでは、一番軟らかめのスーパーソフトを7セット選んでいる。
オーストラリアGPでは新方式の予選が行われたが、最初からある程度のタイムを出しておく必要があることから、すべてのドライバーがQ1の最初のアタックからスーパーソフトを装着していた。そして、ドライバーによっては使えるスーパーソフトがなくなってしまったことからQ2やQ3でのアタックを見送らなくてはならないケースも出てきていた。
バーレーンGPでもその新予選方式が継続されることになったことで、スーパーソフトを多く持っているほうが有利となるのは間違いないだろう。
(参照記事)なぜ?F1バーレーンGPでも不評の新予選方式継続が決定
だが、中にはトロロッソのマックス・フェルスタッペンのようにミディアム1セット、ソフト7セット、スーパーソフト5セットというふうに、全体の傾向からすれば少し異なるタイヤ選択を行っているドライバーもおり、それぞれがどういう予選戦略、レース戦略を組み立てていくのかが見どころのひとつとなってきそうだ。
■【参考】新タイヤルールの主なポイント
・新たに最も軟らかいウルトラソフトタイヤが登場。ドライタイヤの種類はこれまでの4種類から5種類へと増える。各タイヤの識別色は、ウルトラソフト(紫)、スーパーソフト(赤)、ソフト(黄)、ミディアム(白)、ハード(オレンジ)。
・各レースに持ち込まれるドライタイヤはこれまでの2種類から3種類に。
・ドライバー1名に対して支給されるタイヤは全部で13セット(数はこれまでと同じ)。
・そのうち最も軟らかいタイヤ1セットを予選Q3での使用に向けて温存しておかなくてはならない。
・タイヤサプライヤーのピレリが決勝用の2セットを指定。各ドライバーは決勝中に2種類以上のタイヤを使用しなくてはならないが、ピレリ指定の2セットのうち少なくとも1セットを必ず使用しなくてはならない。
・残りの10セットに関しては、各チームが3種類の中から自由に選択することができる。各チームは所定の期日までに事前にピレリに対して使用したいタイヤセットを申請することになる。
・予選Q3に進出したドライバーは、温存しておいた1セットを使用してQ3を戦わなくてはならない。決勝ではQ2で最速タイムを出したときに履いていたタイヤでスタートしなくてはならない。
・予選Q3に進出できなかったドライバーは、Q3用に温存しておいたタイヤを決勝で使用することが可能となる。
なお、各チームは下記のスケジュールに従って支給されたタイヤのうち一定数をピレリに返却しなくてはならなくなっている。返却するタイヤの種類はチームが自由に決定できることになっているが、これもタイヤ戦略を展開する上でのひとつのポイントとなってくる。
【タイヤ返却のタイミングとセット数】
FP1 開始40分後に1セット
FP1 終了後に1セット
FP2 終了後に2セット
FP3 終了後に2セット
ただし、ピレリが選択した決勝用のタイヤ2セットをフリー走行時に返却することはできず、決勝で少なくともそのうちの1セットを使用しなければならない。さらに、上にも記したように予選Q3まで残ったドライバーはQ3用として指定された最も軟らかいタイヤ1セットを返却しなければならず、Q2での自己ベストタイム計測時に使用していたタイヤを決勝のスタート時に装着しなければならない。Q3に進出できなかったドライバーは、Q3用として指定されていたタイヤを決勝で使用することができる。