キミ・ライコネン(フェラーリ)のマネジャーが、今週末にスタートする2016年F1シーズンは2007年のF1チャンピオンであるライコネンにとって重要な年になると認めた。
■大勢を占めるライコネンは今年限りとの見方
F1解説者の多くが、もしフェラーリに今季メルセデスAMGに対抗するだけの強さがあれば、そのときはルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグとセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)の三つどもえの戦いになるだろうと予想している。ライコネンがそこに加わるだろうと考えている者はほとんどいないのが現実だ。
事実、2014年にロータスからフェラーリへと移籍したライコネンだが、その年はチームメートのフェルナンド・アロンソ(現マクラーレン)に大きく後れをとり、昨年もランキングこそ4位だったものの、獲得ポイントはベッテルの278に対して150と、ここでも大きく水をあけられてしまった。
このため、今年ライコネンがよほどの成績を残さない限り、フェラーリが契約を更新しない可能性が高いと考えられている。そして、すでにそのシートを多くのドライバーたちが狙っている状況だ。
■フォース・インディアとの契約を守るとヒュルケンベルグ
だが、昨年はフェラーリ移籍のうわさもささやかれたニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)は、自分は来季フェラーリへと移籍することはないと主張している。
母国ドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』から、昨年はフェラーリとの交渉がまとまる寸前までいっていたのではないかと質問されたヒュルケンベルグは「ノー」とはっきり答えると、次のように続けた。
「僕はドライバー兼マネジャーでもあるんだ。だから、僕にはどうなりそうかということは常に分かっていたよ」
「僕はフォース・インディアとの契約を更新したし、それは2017年までだ。僕がここを出ていくことはないよ」
■フェラーリ移籍を視野にハースへ移ったグロージャン
一方、今季ロータスからハースに移籍したロマン・グロージャンがフェラーリのシートを視野に入れているのは確かだ。
慣れ親しんだチームであり、再びルノーのワークスチームへと戻る可能性が高かったロータスからあえて2016年からF1参戦を開始するハースへの移籍を決めたのは、ハースとフェラーリの関係が密接だったためにほかならない。
グロージャンは、実質的なフェラーリのBチームだと言われるハースに加入することによって、フェラーリへの道を切り開くチャンスが大きくなると期待している。
■リカルドにとってのネックはベッテル?
もう1人の候補者として話題に上っているのがレッドブルのダニエル・リカルドだ。現在の契約は今季いっぱいとなっており、来年は移籍のチャンスもある。
リカルドの先輩にあたるオーストラリア出身の元F1ドライバーであり、1980年にオーストラリア人として最後のF1チャンピオンとなったアラン・ジョーンズは次のように語った。
「私は、彼(リカルド)が来年はフェラーリのシートに行きつくだろうと信じているし、それを期待しているよ」
だが、リカルドにとって大きな問題となるのは、2010年から2013年までF1タイトルを4連覇し、現在はフェラーリのナンバー1ドライバーに収まっているベッテルの存在かもしれない。2014年にリカルドがレッドブル最後のシーズンとなったベッテルを打ち負かしたという経緯があるためだ。
かつてマクラーレンやレッドブルで活躍した元F1ドライバーのデビッド・クルサードは、17日(木)に『AAP通信』に次のように語った。
「セバスチャンはダニエルがフェラーリに来るのを望むかな? レッドブルで彼らが一緒だったときにどうなったかを彼も覚えているだろうからね」
■ボッタス確保をもくろむウィリアムズ
実際のところ、昨年フェラーリと契約寸前までいっていたと考えられているのはライコネンと同じフィンランド出身のバルテリ・ボッタス(ウィリアムズ)だった。うわさによれば、ボッタスは昨年、フェラーリからもう1年ウィリアムズで自分の才能に磨きをかけるようにと伝えられたのだという。
だが、ウィリアムズも簡単にボッタスを手放すつもりはなさそうだ。技術責任者のパット・シモンズは、フィンランドの『STT通信』に次のように語った。
「私は今でもバルテリの大ファンだよ。彼はすごく優秀だし、我々の使命は彼に勝てるクルマを与えることだ」
■スタートダッシュができるかライコネン?
ともあれ、大勢の若手ドライバーたちがライコネンのシートを狙っているのは事実だ。36歳のベテランドライバーであるライコネンにとって、来季以降もフェラーリにとどまるためには、2016年にフェラーリを納得させられるだけの活躍を見せるしかない。
「キミは新車にすごく満足しているようだ」
フィンランドの『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』にそう語ったマネジャーのスティーブ・ロバートソンは、次のように付け加えた。
「我々は今シーズンに力強いスタートを切ることがどれほど重要かということが分かっている。もしキミにそれができれば、彼はF1タイトル争いに加わることだってできるよ」