2016年シーズン開幕まであと10日あまりとなったが、F1最高責任者のバーニー・エクレストンに対する批判が高まりを見せている。
■F1ボスの言動は理解できないとダイムラー会長
数日前、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)のジャン・トッド会長が、最高責任者でありながら現在のF1は「ゴミ」だと発言したエクレストンを厳しく批判したことが報じられていた。
そして、メルセデスを傘下におくダイムラーのディーター・ツェッチェ会長も、エクレストンが最近のF1はチケット代を払ってまで見に行く価値はないと発言したことに対し、次のように反論した。
「最高経営責任者であるばかりか共同オーナーの1人でもある者が、自分が売ろうとしているものに関してどうしてそういう発言をするのか理解に苦しむよ」
「ジュネーブモーターショーにおいても、ステージの上から、私はメルセデスになど乗るつもりはないし、お客さまもそうしないことをお勧めしますなどという発言はしなかったよ」
■F1には変化が必要だとモンテゼモーロ
エクレストンに関しては、過去何十年にわたってF1というブランドを築き上げてきたという実績を評価するものの、そろそろF1も新しい時代を迎えるべきだと考えている者も多い。
2014年シーズン途中までフェラーリの会長を務めていたルカ・ディ・モンテゼモーロは、『Motor Sport Magazine(モータースポーツ・マガジン)』に次のように語った。
「彼(エクレストン)は、F1にやってきて以来、素晴らしい仕事を成し遂げたと思っている」
「だが、彼ほどの年齢の人に、考え方をまるっきり変えろと言っても意味のないことだよ。だが、考え方やさまざまな部分において変化が必要とされているんだ」
一方、エクレストンは逆にFIA会長であるトッドに対し、彼があまり目立つ活動を行わず、F1に関しても一歩身を引いたような取り組み方をしているとの批判を行っている。
■エクレストンのスタイルは時代に合わなくなったとトッド
そうしたエクレストンの批判に関してどう思うかと質問されたトッドは、『Auto Bild(アウト・ビルト)』に「彼に直接話をするのが私のスタイルなんだ」と答えつつ、次のように続けた。
「私はバーニーが好きだよ。彼は比類なき人物だ。私はやっと70歳の誕生日を迎えたところだが、彼はすでに85歳なのに、それでも大きな情熱を持ってF1をリードしている」
「だが、彼も自分のスタイルを持っている」
トッドは、そのエクレストンのスタイルは今の時代には合ってはいないとほのめかしている。
「F1は素晴らしいスポーツだし、自動車産業にとっても偉大な貢献をしていると思う。しかし、今我々はこれまでとは違う新しい映画を見ているんだよ」
「すぐに、自動運転のクルマも出てくるだろう」
ここ数年で自動車やレースを取り巻く環境が大きく変わってきていると主張したトッドは、次のように付け加えた。
「これからも、12歳の子供が2時間も座って自動車レースを見ていられるだろうか? 我々はF1をもっとうまく人々に伝える必要があると私は思っているよ」
■今のF1はリーダー不在だとベッテル
最近、大きな話題となったのが、F1が今年から導入する新予選方式だ。
エクレストンとはかなり親しいことで知られていたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)もこれにはかなり驚いたようだ。
ベッテルは、F1開幕戦オーストラリアGP(20日決勝)がこれほど近づいた時点で予選方式が突然改められたことに疑問を呈すとともに、そういうドタバタ劇を演じたことは、今のF1には「リーダーシップ」が欠けていることを世間に知らしめるものだったと認めたと伝えられている。