22日(月)から4日間にわたって今年最初のF1公式シーズン前テストが行われたが、会場となったバルセロナ-カタルーニャ・サーキットのパドックで大きくささやかれていたのがホンダF1プロジェクトから離脱することになった新井康久に関するうわさだった。
今回のホンダの発表を受けて、マクラーレンの最高権威であるロン・デニスやレーシングディレクターを務めるエリック・ブーリエらがホンダに対して新井を更迭するようプレッシャーをかけた結果ではないかとのうわさが広まっていたのだ。
■F1プロジェクト責任者交代は長期計画の一環
だが、ホンダの公式な説明は、新井は単に定年を迎えたということだった。
ブーリエも、フィンランドのテレビ局『MTV』に次のように語った。
「新井さんは60歳の誕生日を迎えたんだ。ホンダの年金制度では、60歳になったらリタイア(退職)ということになるんだ」
「彼がリタイアするというのは、長期計画としてあったものなんだ」
■今回の人事は予想外だったと新リーダー
しかし、ブーリエが言うホンダの“長期計画”と、後任として3月1日付でホンダF1プロジェクト総責任者に就任する長谷川祐介のコメントは少しつじつまが合わないようだ。
今回の人事が明らかになったとき、長谷川は次のように語っていた。
「私がチームに加わることになるとは予想していませんでした」
「昨年は、テレビでレースを見ることによってF1プロジェクトの状況を追っていたんです」
本当に新井の定年退職が以前から決まっていたのであれば、後任人事ももっと早くから決まっていたはずだと首をひねる者も少なくはないようだ。
■今週末も走行を行うマクラーレン・ホンダ
ともあれ、今年は昨年に比べるとかなり順調な出足を見せたホンダだったが、バルセロナテスト最終日の25日(木)には、トラブルのためにフェルナンド・アロンソがわずか3周しかできず、タイム計測すらできずに終わってしまった。これにはさすがのアロンソも「がっかりしたよ」と落胆を隠せなかった。
だが、マクラーレン・ホンダでは、26日(金)と27日(土)にも同じバルセロナでMP4-31の走行を行うことになっている。これは宣伝活動用の撮影を行うためのものだ。
この「フィルミングデー」と呼ばれるイベントでの走行に関しては、使用するタイヤや走行距離に関して一定の制約が課せられている。だが、マクラーレン・ホンダにとって次のテストに向けた貴重な走行機会となることは間違いない。