今年、F1タイトル奪取を目標に掲げるフェラーリだが、それが本当に可能かどうかは実際にレースが始まってみないと分からないというのが本当のところだ。
確かなことは、フェラーリとしては少なくとも過去2年にわたって絶対的な強さを誇ったメルセデスAMGとの差を詰めなくてはならないということだ。そして、そのためにフェラーリはシーズンオフの間に非常にアグレッシブに2016年型車の開発を行ってきていると言われている。
■生まれ変わったフェラーリの2016年仕様パワーユニット
F1公式サイトは、「フェラーリは冬を通じて手を緩めることはなかった」と報じ、そこにはF1技術イラストレーターとしてしられるジョルジオ・ピオラによる分析も掲載されている。
ピオラは、昨年の最終戦以降、フェラーリはパワーユニットの「ほぼすべてのコンポーネントに変更を加えた」と語り、唯一変わらなかったのはMGU-H(熱エネルギー回生装置)が2015年仕様と同じ位置にあることだけだと説明している。
■ベッテルの活躍に期待するドイツのテレビ局
一方、ドイツのテレビ局『RTL』は、今年もメルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダがテレビ解説者を継続すると発表。『RTL』のスポーツディレクターであるマンフレッド・ロッペは、今年のF1が見せ場の多いものとなることを期待していると次のように語った。
「セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が力強いコメントを述べたことで、我々としても長くてワクワクするシーズンになると期待している。ベッテルが何か約束をしたときは、大概その通りになるからね」
■フェラーリのチャンスは五分五分
ベッテルと同じドイツ出身の元F1ドライバーであるクリスチャン・ダナーは、フェラーリが冬の間に行った開発が実を結ぶかどうか、その可能性は半々だと次のように語っている。
「結局のところ、フェラーリが今年メルセデスAMGと同等の力を発揮できるチャンスはフィフティー・フィフティーだと思う」
そう述べたダナーは、次のように付け加えた。
「(ルイス)ハミルトンと(ニコ)ロズベルグ、そしてベッテルによる三つどもえの戦いが行われるだろうと想像することはできる」
■メルセデスAMGもさらに前進
だが、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、メルセデスAMGとて指をくわえてフェラーリの進歩を見ているだけではないと報じている。
同紙によれば、3年連続でのF1タイトル獲得を目指すメルセデスAMGの2016年型車には新式のサスペンションが設けられ、ノーズはこれまでより高い位置に設定されるようだとしている。さらにマシンのリア部分はよりスリムになり、ラジエーターもより小型化されるという。
『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』によれば、メルセデスAMGの2016年型車は細部にわたってかなりの変更が加えられており、そこにまったく新しいエンジンが搭載されることになるようだ。
■今年もメルセデスAMGの強さは変わらないとトロロッソのボス
今季から再びフェラーリエンジンを搭載することになるトロロッソだが、チーム代表であるフランツ・トストは今年もメルセデスAMGの牙城を崩すことは難しいだろうと考えている。トストは、『Auto Bild(アウト・ビルト)』に次のように語った。
「メルセデスAMGとの差は非常に大きかった。彼らはまた誰も寄せ付けることはないだろう」