1周5秒のスピードアップを目指して検討されていたF1の改革案が大幅に縮小されたと伝えられているが、その原因はピレリにあると言われている。
当初はシャシーの幅やディフューザーを大幅に拡大してスピードアップを図る案が検討されていた。しかし、それによってタイヤにかかる負荷が増大するため、タイヤの空気圧も劇的に高める必要があるとピレリが主張したと伝えられている。
これについて聞かれたピレリのモータースポーツ責任者ポール・ヘンベリーは、『Autosprint(オートスプリント)』に次のように語っている。
「望み通りどんな負荷にも耐えるタイヤを作ることはできる。しかし、現在と同じものにはならない」
「(ダウンフォースが)50~60%増加すれば、近年使っているタイプのタイヤでは無理だろう」
■スピードアップと複数ピットストップは両立しない
現在ピレリは、1レースあたり2回以上のピットストップが必要となるよう、性能劣化の速いタイヤを供給するよう求められている。
「われわれがF1に参入した際、タイヤに関する作業部会の責任者はロス・ブラウン(元メルセデスAMGやフェラーリ等のチーム代表)だった。彼が最初に口にしたのは“高速のコーナリングは必要ない”という言葉だ」とヘンベリー。
何を優先すべきか方向性を明確にする必要があるとヘンベリーは話す。
「つまり、慎重にやる必要があるということだ。理解してもらわなければならないのは、F1のパフォーマンスはすでに非常に高いレベルにあり、5秒のスピードアップは非常に大きいということだ。正しい方向に進んでいるのだと確信できる必要がある」
またヘンベリーは、2017年に予定されている変化に向けてタイヤテストを増やす必要があるが、その進め方についてチーム間で合意に至っていないことも問題だとしている。