メルセデスでは、F1から撤退することなどまったく考えていないようだ。
F1草創期の1954年と55年にコンストラクターとしてF1に参戦していたメルセデスだが、その後1994年にエンジンサプライヤーとしてF1復帰。翌1995年からマクラーレンへのエンジン供給を開始。長年にわたってマクラーレンを実質的なワークスチームとして位置付けていた。
だが、2010年には、前年にチャンピオンチームとなったブラウンGPを買収してメルセデスGPを結成し、フルワークス体制でのF1参戦を開始。そしてパワーユニット時代を迎えた2014年からは2年連続でF1の頂点に立っている。
メルセデスAMGがそのパワーユニット時代に成功を収めることができたのは、巨額の予算のおかげであることは確かだろう。だが、トト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)は、F1活動を行うために投じた予算はそれ以上の価値を生み出したと主張している。
「我々は非常に正確な計算をしている」
『Tiroler Tageszeitung(チロラー・ターゲスツァイトゥング)』にそう語ったヴォルフは、次のように続けた。
「昨シーズンは、30億ドル(約3,550億円)の広告費用に相当する価値を生み出した。つまり、我々がF1に取り組んだのと似たような結果を得るためにテレビ広告や紙媒体での宣伝を行うとしたらそれだけの投資が必要だったということだ」
ヴォルフは、それだけの価値を生み出すF1から撤退するというような考えはメルセデスにはないと主張し、次のように続けた。
「トヨタやBMW、その他いくつものチームがF1に来ては去っていった。だが、我々の場合は違うよ」
「メルセデスが最初に造ったのはレーシングカーだった。だから、モータースポーツというものが我々のDNAに刻み込まれているんだ。厳しい時期を迎えることになっても、それは変わらないよ」とヴォルフは結んだ。